429 裏で頑張っていた?
信くんとの約束のことで色々と感情的になり、少しの間、上の空になっていたが、ようやく落ち着いて状況を飲み飲み込むことができ、二人で桜を楽しむことができた。
信くんは私のために色々と準備をしてくれていたこと。
きっと、桜を探したり、兄さんに許可をとったり、秘密だったからとはいえ、何も手伝えなかったことが何だか歯がゆいというか‥‥。
こういうところはいつも信くんにやってもらうことばかりで、私何一つ返すことが出来てない‥‥。
「信くん、何か私にやってほしいこととかない? 私何でもするよ?」
「え!? 何でそういうことに? ‥‥あ、 別にこれは僕がそうしたかっただけのことだから奈留さんが気にする必要はないよ」
‥‥何だか納得いかない。
信くんは優しすぎるよ、もう。
でも、今はそういう話をするのは野暮かもしれないね。
こんなにライトアップされて綺麗な桜が目の前にあるんだから‥‥‥‥ん? ライトアップ?
「ねぇ、信くん。 一つ聞きたいことがあるんだけどいい?」
「どうしたの奈留さん?」
「途中さ、急に明るく桜の木を照らしていたけどさ、あれって信くんが、何処かにスイッチとか用意してたの?」
「ううん、手で合図をしたらライトがつくようにしてもらってたんだ」
‥‥ん? ちょっと待って、今の言い方だと‥‥。
「誰がいたの?」
「蔭道さんと灘実さん」
‥‥‥‥えぇ!!? 二人がいたの!?
「何で!?」
「こういうことがしたいってお願いしたら引き受けてくれてね。 面白そうだからって」
「‥‥何だか面白そうって凄く言いそう‥‥」
何だか直前になってあまり何も聞いてこないなぁとは思ってたけどそういうことだったのか‥‥。
「一応、奈留さんに気付かれないように今は少し離れたところにいるみたいだから、携帯で呼んでみるね」
なるほど‥‥二人にもちゃんとお礼しなくちゃね。
◇◆◇◆◇◆
「いやー、まさかこんなことを頼まれるとは思ってなかったっすけど、奈留ちゃんを驚かせることが出来て何よりっすよ!」
「何回かライトの調節してたものね、蕾」
「そういう裏方のことは言わないでほしいっすよ! 由南ちゃん!」
でも、由南ちゃんと蕾ちゃんの思いもあってこんな綺麗な桜を見ることができたんだね。
「でも、これからお花見するのよね? そろそろ準備する?」
「そうですね。 しましょうか」
‥‥え? お花見?
そんなこと一言も聞いてないんですが!?
何だか初めはサプライズみたいで嬉しかったけど、みんな知ってて私だけ仲間外れは嫌だよー!
「えぇ! お花見するんっすか!?」
あ、蕾ちゃんも知らなかったのね‥‥!




