41 伝言
昼休み、由南ちゃんと教室でお昼ご飯を食べていると、クラスの男子に囲まれて話をしている、磨北くんが目に入る。
「転校してきたの昨日なのに、もうあんなに友達がいるなんて磨北くんってすごいなぁ」
お姉さんもそうだけど、コミュ力高すぎない?
恐るべし、磨北姉弟。
「奈留だと絶対に無理ね。 ボッチになるのが目に見えてる」
「あはは、そうかもね。 だから由南ちゃんが同じクラスで本当に良かったと思ってるよ」
私は複数、友達を作るのは向いてなさそうだし。
百人の友達より、一人の親友だね!
‥‥まぁ本当はもう少し友達ほしいけど。
「も、もう! そこはもっと反論するところでしょ‥‥まったく」
由南ちゃんは顔を赤らめてそっぽを向いた。
由南ちゃんが照れるなんて珍しい‥‥。
そのあと少し間が空いて、今朝の学校のことを話してみた。
「そういえば、今日の朝、磨北くんに話しかけてみたんだよ」
「へぇ、奈留が自分からなんて珍しいね。 好きなの?」
「気になったことがあったから聞いただけだよ! でもまた話せたらいいなぁ」
優しいし、是非とも友達になりないなぁと思っていたりする。
「まぁ頑張って」
「うん」
「あ、そうだ今日の放課後、家によっていかない?」
由南ちゃんが誘うなんて珍しい。
「え? うん、いいよ。 そういえば、久々に由南ちゃんの家にいくような気がする」
「そうかな? でもまぁよろしくね」
「オッケー」
何かはわからないが楽しみだなぁ。
◆◇◆◇◆◇
お昼を食べ終わり、暇になったので、由南ちゃんと一緒にブラブラと廊下を歩いていると、いきなり視界が真っ暗になった。
「だーれだ?」
え?
突然のことに戸惑いつつも、声で誰かを一生懸命考える。
声を変えているのか全然わからない!
声は女性の声だから、女の子で間違いはないけど。
自分で言ってて悲しくなるが、私は友達が少ない!
女性の友達となるとさっきまで隣にいた由南ちゃんだけど、瞬間的にそんなことはできないはずだ。
あ、もしかして。
「小乃羽ちゃん?」
私に目隠しされていた手が外され、視界が明るくなる。
私は後ろを振り返った。
「大正解です。 御姉様♪」
小乃羽ちゃんが笑顔で立っていた。
「驚いたよ、小乃羽ちゃん」
「すみません御姉様。 なんだか久々にこういうことをしてみたくなったんです。 それと御姉様と由南先輩に用事があって、すぐ見つけたのが嬉しくなっちゃって」
私も久々にされたような気がするよ。
最後にされたの誰だろう‥‥兄さんかな?
「なんだか私も嬉しくなっちゃうよ。 あ、そういえば用事って?」
「部長からお二人に伝言と、この紙を渡すようにお願いされたんです」
要するにパシリっと。
よし今度、藍先輩に出会ったら一言もの申してやる。
「また、部長面倒くさがったのね」
「自分の仕事なんだけどね。 まぁいつもの藍先輩だね」
あの性格は一生直りそうにないな。
「で、伝言と言うのがですね。 ”明日から修学旅行があるので、その間、部長と副部長の代理を任せた” だそうです」
内容はわかった。
直接言わないのも別にもう構わない。
けど一つだけ文句があるとしたなら‥‥もっと早く言えよ!
「なんでもっと早く言ってくれないのかあの部長は」
ホントだよ! 修学旅行が迫ってきてるのわかってただろ。
でももう修学旅行なんだね。
「でもそうかぁ、修学旅行明日なんだね。 私達には関係ないから日にち知らなかったよ。 今年は何処に行くんだっけ?」
「確か沖縄のはずよ。 去年は長崎だったみたいだけど」
「へぇ、私達は何処になるんだろうね」
前世では長崎だったのけど、今世はどうなるんだっけな。
妹が行ったところなんて知らないしな。
でもいいなぁ修学旅行。 私も早く行きたい!