424 優しいですね
「大変だったね‥‥」
「あはは‥‥そうだね」
結局、写真も沢山撮られて、精神的に凄く疲れた‥‥。
今は着替え終わっているが、あの後、結局男装もさせられたし‥‥。
でも信くんの女装、本当に綺麗だったなぁ。
元々女の子だったからかもしれないが、立ち振舞いもメイド服を着ていたときは凄く女の子だった。
‥‥あとで蓮佳さんから写真のデータをもらおう。
「でも、奈留さんは本当に何でも似合うね」
「え! そ、そうかな‥‥?」
「うん、あとで蓮佳さんから写真貰おうかな」
わ、私と同じ考えを‥‥恥ずかしいけど、私も欲しいからなにも言えない‥‥。
あと、信くんに抱き付いていた所も写真に撮られていたみたいで、あれだけは確実にこの世から葬り去ろう‥‥うん、これは決定事項で。
「二人とも、この後なにか予定あるのか?」
ん? 何で聞くんだろう‥‥?
マスターが聞いてくるが、今日は信くんが決めてるから私はわからないんだよなぁ。
「いえ、行く場所はありますけど、まだ大丈夫ですよ。 どうかしました?」
「蓮佳が迷惑かけたから飯ぐらい作ろうかと思ってな。 何でもいいぞ」
そういえばもうお昼はとっくに過ぎていて、お腹も少し空いていた。
ここで断るのも何だか申し訳ないような気がするが、信くんは何か決めたりしてるのだろうか。
「奈留さんはそれでいい?」
「え? あ、うん。 丁度お腹も空いてるし」
「じゃあ、お願いしてもいいですか」
信くんもここで断るのは違うと思ったのか、特に遠慮とかもなかった。
「任せろ」
そうして、マスターは私たちに料理を振る舞ってくれた。
やはり、毎日お店で作っているので、凄く美味しい‥‥。
でも、蓮佳さんの尻拭いをするマスターってやっぱり優しいなぁ。
◇◆◇◆◇◆
その後も、カフェでお話をしたり、買った本を少し見たりと、何だかデートというか、何時ものことをしているような気がするが、私たちらしいといえば私たちらしい。
「じ、じゃあまた来てね、夕闇ちゃん、彼氏くん」
「蓮佳さん、ありがとうございます‥‥ってなんでそんなに足を痛そうにしてるんですか?」
「いや、さっきまで隆に怒られて正座をさせられてて‥‥めちゃ怖かったし痛かった‥‥」
そういえば、途中から蓮佳さん全く見てなかったな。
あれって反省中だったからか。
「た、大変だったんですね‥‥」
「まぁ、我が儘を言って困らせちゃったのは私だし‥‥デートも中断させちゃったみたいでごめんね」
「いえ、なんだか新鮮で楽しかったですよ。 ね、奈留さん」
「はい」
何だかんだで、信くんが女装するとは思わなかったからね。
蓮佳さんのお陰でとてもいいものが見れました。
「二人がいい子でお姉さん嬉しい‥‥! またデートの時じゃなくても、気軽に立ち寄ってね!」
「ありがとうございました」
そうして、私たちはカフェをあとにした。




