423 信くんも着替えました
そして、信くんは着替えにいった後も私はメイド服を着たままだったのだが、それが何だか落ち着かない。
「夕闇、着替えないのか?」
「着替えようと思ったんですけど、蓮佳さんが二人一緒に撮りたいからそのままでって言われたんですよね」
「別に蓮佳の我が儘に付き合わなくてもいいんだぞ。 もし苛ついているなら、一度殴っても問題ないし」
問題大ありですよ!
「い、いえ‥‥。 蓮佳さんには色々とお世話になってますから」
毎度のことながら、恥ずかしいのはありますけどね。
そうして数分後、信くんが着替え終わったのか、奥から蓮佳さんの声が聞こえてきた。
「キター! 凄く似合ってるよ!」
「そ、そうでしょうか‥‥」
蓮佳さんと信くんの声が聞こえてくるが、蓮佳さんが凄くテンションが上がってる‥‥。
それだけ似合ってるんだろうか‥‥。
そうして、ようやく信くんが私たちの前に‥‥‥‥え!?
「し、信くん‥‥その格好‥‥」
「‥‥‥あはは」
なんとそこには女装をして、メイド服を着ている信くんがいた‥‥何故!?
確かに前世のことを考えると、元女性なわけだし、全く問題はないし、姉弟の祈実さんに似て綺麗な顔をしているので、見た目も全く違和感がない。
‥‥あれ、特になにも問題ない?
「信くん、可愛い!」
問題ないと思うと、素直な気持ちで信くんに抱きついていた。
何だか今なら可愛いもの好きな由南ちゃんの気持ちが凄くわかるような気がするよ!
信くんだけど信くんじゃないように見えて、触れやすいというのも大きいかもしれないが、抱きつくことに全く抵抗がなかった。
「な、奈留さん!? 急にどうしたの!」
信くんの赤くなった顔を見て、私は我に帰った。
「‥‥あ、いや。 なんだか抱きつきたい気分だったので‥‥」
改めて思うと、信くんとこんなにちゃんと抱きつくなんて、たぶん初めてなんじゃないだろうか‥‥。
急に恥ずかしく思えてきた‥‥!
そして、抱き付いていた腕をほどく。
「いやー本当に私の目に狂いはなかったね! メイド服凄く似合ってるでしょ、隆」
「確かにな」
マスター達も、信くんの着こなし具合に驚いているようだった。
「何だか改めて言われると少し恥ずかしいですね」
でも、着ること自体に抵抗はなさそうだよね、元女の子だったわけだし。
しかもそういう格好をしているからか、仕草も何処か女の子らしい‥‥。
「失敗したなぁ。 彼氏くんを女装させるなら、夕闇ちゃんを男装させればよかった‥‥。 彼氏くんの顔を見て、急に女装を思い付いたからね」
まぁ、私も男装ならあまり抵抗はないですけど‥‥。
でも流石に今は自分から進んで着ようとは思いませんけどね、兄さんいい顔しませんし。




