421 行ってみたら何故か‥‥
「でも、読みたい本があってよかったよ。 置いていないところが多いから‥‥あ、さっき奈留さんが取ろうとしていた本、下の方にもあるよ」
「あ、本当だ」
誰かが一度取って、違うところに戻したのかな?
いけないことだけど、届かない私にはありがたい。
でも、さっきのつま先立ちの努力は一体‥‥。
「奈留さん、それは何の本?」
「SFの‥‥宇宙物の本だよ。 朝何となく思い出したからもう一度読んでみようかなぁって思ったんだ。 まぁ、何となく内容は覚えてるんだけどね」
「あ、僕もそれ読んだよ。 まぁ、前世でだけど‥‥」
前世のあの後に読んだってことなのかな?
信くんって本当に‥‥本が好きなんだね!
「信くんの本の探求心にはいつも頭が下がります」
「‥‥あの時は別にそういうのじゃないよ。 今は大好きだけどね」
私は信くんがずっと本が好きなイメージしかないけど‥‥。
まぁ、私は前世で祈実さんと出会って少し経ってからだから、信くんよりは浅いのかな?
「じゃあ、そろそろ会計しよっか」
「そうだね」
それぞれ欲しかった本を手に、レジへと向かった。
◇◆◇◆◇◆
本屋から出て少し歩いていると、携帯にメールが届いたのか音が鳴る。
誰だろう‥‥。
「あれ? 蓮佳さんからだ」
「蓮佳さん? なんだろう‥‥」
メールの内容を見てみると今すぐ来て下さいとしか書かれておらず、特に何をするとかが書かれていない。
「う~ん、信くん、今日行きたい場所があるんだよね?」
予定を決めていたら信くんに申し訳ないというか‥‥。
「そうだけど、時間は全然大丈夫だよ。 もしかしたら前みたいに蓮佳さんが困っているのかもしれないし、行ってみようよ」
「信くんがそう言ってくれるなら‥‥行ってみよっか」
そうして、私たちはカフェに向かって歩き始めた。
◇◆◇◆◇◆
「いやーまさかデート中だとは思わず、ごめんね奈留ちゃん」
私は来た瞬間にカフェの従業員室へと連れてこられた。
ま、まぁそれだけなら全然いいのだが‥‥。
「いえ、蕾ちゃんの時も色々と助けてもらいましたし、全然いいんですけど、これは‥‥」
「新しく作ったメイド服だよ!」
何でメイド服!? というか、どうしてそれを私着せられてるんですか!?
しかも前よりスカート短い‥‥。
「マスターこれは一体‥‥」
「新しいメイド服が出来たからどうしても夕闇に着てほしかったそうだ。 まぁ、そうしないと仕事しないとかいい腐りやがってな。 そういうことだから犠牲になってくれ」
犠牲って‥‥いやまぁ、前の蕾ちゃんのことでキッチンとか貸してもらいましたし、マスター大変そうですからね。
「は、はぁ、わかりました‥‥」
でも、流石にこれは信くんに見せたくな────




