419 起こそうとしたら‥‥
ベッドから起き、朝食を作り始めてから段々と普段の調子が出てきたなぁと思い始めてきた。
やっぱり何時ものことをするのが一番心が落ち着くね。
あと少しで完成するから、そろそろ兄さんを起こさないと‥‥。
兄さんに服の意見も聞きたいし。
兄さんの部屋に行くと気持ちよく寝ている兄さんが何やら寝言を言っているのがわかる。
「福林‥‥さん‥‥」
あ、小乃羽ちゃんのことを呼んでる‥‥。
あれから一年半、特に何か連絡とかあるとかではないし、兄さん未練とかも凄くありそうだったから‥‥。
夢の中でもしかしたらデートとかしてるのかもね。
ここはもう少し寝かしてあげ───
「‥‥奈留が帰ったみたいだから俺も帰る」
「ちょっと、兄さん!?」
何言ってるんですか!
夢の中でもなんで私の方を優先してるんですか! 強くは怒れないけど!
でも確実にそういうところが兄さんのダメなところだよ!
もう、小乃羽ちゃん絶対に大変だったよね‥‥。
これは理由は違えど、別れちゃったのは仕方がないのかもしれない。
「兄さん、起きてください」
「‥‥あ、奈留。 ただいま」
「寝ぼけてる‥‥兄さん、ここは玄関じゃなくて兄さんの部屋ですよ。 というか、起きてますよね?」
「いや、まだ眠い」
「起きてるじゃないですか。 ご飯冷めちゃいますよ‥‥」
「それはダメだな。 起きる」
そういうと兄さんは勢いよく起きて、部屋を飛び出していった。
眠いと言ったりすぐ起きたり、極端だよ兄さん‥‥。
まぁ、私のためだからありがたくはあるんだけどね。
◇◆◇◆◇◆
「奈留今日出かけるって言ってたか?」
世間話をしながらご飯を食べている最中に、兄さんが聞いてくる。
「うん、兄さんは何処か行く予定でもある?」
「あぁ、広葉と祈実に誘われててな」
広葉はお馴染みだけど、祈実さんは珍し‥‥くはないのかな?
クラスではよくいるって言っていたもんね。
それでいて女の子の友達も多いみたいだし、やっぱり幅広く仲良くなっている祈実さんのコミュニケーション能力は凄いね。
「へぇ、何だかその二人と何をするか気になるところではあるけど‥‥」
「特に決めてないぞ。 祈実が行く場所に男二人が振り回される形だな」
何それ楽しそう‥‥いやいや、私は今日信くんとお出掛けなんだから。
はぁ、憧れは未だに健在ですね。
「そうなんだ。 じゃあお昼はいらないね」
「作ってくれても全然かまわないぞ。 他の二人がお店で食っててても、一人で弁当でもなんでも食べるから」
「それ、普通嫌がりません!? なんで、反抗期の逆を行くんですか兄さんは‥‥いや、別にいいんですけどね。 でも今日は皆と同じようにしてください」
「あぁ、わかった」
そして一段落し、また世間話をしながら、ご飯を終わらせた。




