417 限界ですね
卒業アルバムを見始めてから、結構な時間がたった。
「もうそろそろいいわね。 片付けましょうか」
「あ、最後に寄せ書き見せてほしいっすよ」
「そういえば、私も書いたよね。 由南ちゃんは友達が多いから、結構埋まってそう」
「そんなに書いてあったか覚えてないわ。 ‥‥あまり書いてないわね」
「これでっすか? 結構あるっすよ」
中々カラフルに埋め尽くされていて‥‥私って何処に書いたんだっけ‥‥。
まぁ、自分のは別にいいか。
「そうかな? よし、じゃあ終わり。 今から食べるの再開ね」
「あ、ようやくスイーツ食べるんっすか」
あぁ、またあのわんこそばスタイルのスイーツが再開されるのか‥‥私大丈夫かな?
無理なときは本気でお願いして食べるのをやめよう。
◇◆◇◆◇◆
「あ、あの世が見えるっす‥‥」
「苦しくて、蕾ちゃんがおかしくなりかけてるよ、由南ちゃん!」
まだ、三切れほどだけど、蕾ちゃんが再起不能になりかけていた。
やっぱり、そんなに食べられないんだね蕾ちゃん。
「あれ、あの世なのにひーくんが‥‥」
「蕾ちゃ~ん、森田さん死んでないからね~」
私も少し苦しいから、あまり余裕はないけど蕾ちゃんほどではないかな‥‥。
「結構食べてくれてたから、もう大丈夫よ。 お疲れ様」
まだ少し残っているけど、私たちのことを考えてか、ようやくエンドレスに続くと思われたスイーツに終わりがきた。
はぁ、次からはもっと人を呼ぼう‥‥うん、信くんは絶対に。
◇◆◇◆◇◆
本日二度目の休憩を今度はリビングでとっていたとき、私の携帯が少し震えた。
メールが来たみたい。 誰からだろ?
‥‥あ、信くんだ!
「どうしたっすか、奈留ちゃん」
「出掛ける場所が決まったよって、メールが来てたんだ」
「陸さんからっすか?」
「信くんだよ」
まぁ、別に蕾ちゃんに悪意とかはないんだろうけど、出掛けるって聞いて、彼氏ではなく兄があがる私ってどうなんだろう‥‥。
ちょっと兄さんとの付き合いを考えた方がいいかもしれない、うん。
「またデートっすか、ラブラブっすね~」
「あ、あはは‥‥」
未だにデートと言われると緊張するし、ダメダメな部分ばかりだけどね。
っと、今はメールの続きを読まなければ!
待ち合わせの場所はいつのも場所で‥‥‥‥か。
本当に何処に行くんだろう。
まぁ、何処でもすごく楽しいだろうけどね。
私がメールを返している間、由南ちゃんと蕾ちゃんが何かこそこそ話している。
「由南ちゃん、奈留ちゃんデートみたいっすよ」
「そう‥‥。 蕾、盗聴はしっかりね」
「了解っす!」
結構大きな声だから聞こえてるよ! 二人とも!
絶対に由南ちゃんの方はわざとだし!
「ちょ! 二人ともダメだからね!」
本当に大丈夫かなぁ‥‥。




