416 なりたいもの?
卒業アルバムを見ていると色んな発見がある。
例えばそう、アルバムに挟まれていた卒業文集の作文がまとめてあるページがあったり、小さい頃になりたかった夢が書かれていたり‥‥。
「あれ? 奈留の夢がお兄さんのお嫁さんになる‥‥じゃない!?」
「なんでそれを書くと思われてるの!? 可能性ゼロだからね!」
あり得ないし、そもそもこんな誰が見るかもわからないところに、そんな黒歴史になりそうなことは書かないだろう普通は。
「でも、さすがにこの書いてある夢も似たようなものだと思うけど?」
「え? 家族ずっと仲良くっていう夢?」
その時の最大の願いがそれだったので、率直に書いたのだが‥‥。
まぁ、今から思えば、兄さんとは凄く仲良しだし書くまでもなかったかなと思わないでもない。
「こんなこと書かないでしょ普通。 職業の名称を書くとかそういうことじゃないのこれ?」
あー、今のところは職業体験とかさせてもらって、何となく仕事がどんなものかわかってきたようなきがするけど、前世とかではなにも考えてなかったし、もちろん小学生の時も何も気にしたことがなかったからね。
「えー特に先生になにも言われなかったし、なりたい職業とかなかったし‥‥。 じゃあ、由南ちゃんはなんて書いてるのさ」
「私はあれよ。 スイーツ関係の仕事につきたいって書いてあるわ」
「なんだか凄く範囲が広いね」
いや、範囲を狭めても、可能性を潰すだけだからね。
‥‥でも、普通に真面目に書いていたので、やっぱり私おかしいのかもしれない。
「まぁ、今はあまりそういう仕事には就こうとは思ってないけどね」
「え、そうなの?」
作るのもうまいし、似合ってると思うんだけど‥‥。
「食べられないのに、就いたって仕方ないでしょ」
「た、確かに‥‥」
そういう仕事に就いたら、食べることも増えそうだもんね。
流石にそういうことも考えたのかもしれない。
「それより、蕾はどんな夢を書いてあるの?」
「私っすか? 流石に恥ずかしいことは書けなかったっすから、普通のことを書いたと思うっすけど‥‥」
えっと、どれどれ‥‥。
「"部下か弟子がほしい"‥‥‥‥は?」
由南ちゃんの反応はわからないでもないね。
もう夢とかそういうのではなく、欲しいものになっちゃってるからね!
「将来的に望むことって聞かれたっすから、そう答えたらそのまま書かれちゃったんっすね」
「そもそも、あんた一人でなんでも出来るんだからそんなのいらないでしょ」
まぁ、今はアイちゃんもいるからね。
「何を言うっすか、由南ちゃん! そういうのがいたら格好いいじゃないっすか!」
見映えの問題!?
 




