411 作った後の出来事
二人が出ていって、帰っていくのを確認するとともに私は裏へと戻り、蕾ちゃんの様子を見に行ったのだが‥‥。
「な、奈留ちゃん‥‥」
「蕾ちゃん!? どうしてそんなに倒れそうなの!」
そこまで悪い感想はなかったはずだけど!?
あ、でもシンプルなのが‥‥とか言ってたし、それかな?
「ひーくんが‥‥美味しいって言ってくれたよー!!」
「キャッ、蕾ちゃん!」
突然抱き付かれたので、体を支えきれず、倒れてしまう。
でも、悲しんでるんじゃなくて、感動でってことなんだね。
よかったよかった‥‥。
「そうだね、頑張ったからだね」
「奈留ちゃんのお陰だよ! 奈留ちゃんがお願いしたりしてくれたから‥‥」
そして、蕾ちゃんはさらに強く私を抱き締める。
あはは‥‥嬉しいんだけど、ちょっと苦しい‥‥。
まぁ、こういう蕾ちゃんって中々ないから、役得ではあるよね。
「蕾ちゃん、でもこれはスタート地点だよ」
「そうですよね‥‥。 うん、奈留ちゃん、これからも少しずつでいいので料理を教えてほしいっすよ!」
もしかしたら、これで終わってしまうと思っていたから、蕾ちゃんの言葉に少し嬉しくなった。
あ、まだ広葉の前で成功した訳じゃないもんね。
「うん、今度は森田さんの目の前で作れたらいいね」
「あはは‥‥それは無理っす!」
そんなはっきり言わないでよ‥‥。
ま、今はそれで良いのかもね。
◇◆◇◆◇◆
家に帰ると、宣言通り、兄さんと広葉がゲームをしていたところだった。
てっきり広葉の家でやるのかと思ったけど、結局こっちでゲームするんだね。
「お二方とも、飲み物何かいります?」
「ほしいが、なんでもいいぞ」
「俺も同じく~」
「了解です」
今は何があったかなぁ~っと。
そうして、私は二人の前のテーブルに飲み物を置き、私もソファーに腰かけた。
あ、そういえば広葉には聞きたいことがあったんだった。
「森田さん」
「ん? 何、奈留ちゃん?」
「そういえば、なんであの時、蕾ちゃんが作ったってわかったんですか? まさか凄い舌の持ち主‥‥」
「え? ‥‥あ、パスタのこと? いや、別に味でこの人が作った! とかってわかったわけじゃなくて、元々練習してたのをチラッと見てたんだよね。 ほら陸と遊ぼうと思って家に侵入したら料理してて、それと同じだったから‥‥って奈留ちゃん何だか怒ってる?」
よく不法侵入してくることはあるけど、まさかあの時もされていたとは‥‥運が悪い‥‥。
それなら、やりづらくても蕾ちゃんの家でやるべきだった。
「怒ってないですよ。 驚いていただけです」
まぁ、広葉は特にお世辞とか関係なく言ったんだろうし、目的は達成されてるし。
「それならよかった。 でもあれが新メニューになったら結構な頻度で食べに行きそうだなぁ」
そこまで気に入ってくれたんですか、よかったね蕾ちゃん!
‥‥あ、でも蕾ちゃんには気づいてたのに、新メニューというのが嘘というのには気づかないんですね‥‥。




