408 そして作業を‥‥?
「私の家とは少し勝手が違うかもだけど、すぐになれると思うよ、うん」
ちょっと道具が多くて悩むかもしれないけど。
それでも、ちゃんと練習してきたことをすれば作れるはずだ。
「こんな本格的な場所で‥‥というか、私の料理を新作って出して大丈夫なんっすか!? お二人に迷惑がかかるんじゃ‥‥」
「食べてもらうのは森田さんだけだし、二人とも笑っていいって言ってくれたよ。 全然大丈夫。 それよりも早速作っていこっか! まぁ、今回は蕾ちゃん一人でだけどね」
あれだけ練習したから、もう十分美味しいし、きっと私が見ていなくても同じレベルのものが作れるはずだ。
「そんなにすぐっすか!? まだ心の準備が‥‥」
「善は急げだよ、蕾ちゃん!」
それに、広葉が来るのが、あと少しというのもあり、心の準備する時間とかないんだよね!
もうここは勢いでいかないとね!
◇◆◇◆◇◆
「なぁ、陸。 突然なぜカフェに?」
「いいだろ別に」
入り口からそんな声が聞こえてくると同時に、広葉と兄さんがカフェに入ってきた。
兄さんにお願いして連れてきてもらうようにしていたけど、特に問題なく連れてきてくれたようだ。
でも思ったよりも早かったね。
「蕾ちゃん、来たよ」
「いえ、あの‥‥やっぱり無理です!」
「蕾ちゃん!? 通用口から逃げようとしないでー!」
ギリギリ肩掴んだよ‥‥危ない危ない‥‥。
「‥‥ねぇ、奈留ちゃん。 本当に今日じゃなきゃ駄目?」
うぐっ、何だか蕾ちゃんを見てると罪悪感が‥‥。
「嫌なら今日じゃなくてもいいと思うよ。 だけど蕾ちゃんに少しでも食べてほしいっていう気持ちがあるなら、もう少し頑張ってほしいな‥‥」
私も信くんの時はよく逃げちゃったけど、そのときは由南ちゃんがよく止めてくれたし、そのお陰で今があると言ってもいい。
だから出来れば私も蕾ちゃんの助けになってあげたい。
だから、ここでは強くは言わないけど、蕾ちゃんには出来るだけ頑張ってほしい。
「‥‥もし失敗したら、奈留ちゃん励ましてくれる?」
「当然です。 友達ですから」
逆にこんなに目をうるうるさせている蕾ちゃんを放っておけませんよ。
「な、なら私、頑張る!」
半分くらい泣きそうになってるけど、頑張ろうとする蕾ちゃん。
よし、これで広葉が不味いとかいった暁には、兄さんからきちんと制裁をくわえてもらおう。
‥‥本当に上手くいってほしい。
「じゃあ料理を仕上げようか」
「はいっす!」
よし、蕾ちゃんは頑張っているし、私もやれることをしないとね。




