406 美味しくはなりましたが‥‥?
「というわけで、レシピを作ってきたよ!」
レシピを見せるために蕾ちゃんと待ち合わせをして、現在、蕾ちゃんにレシピを見せていた。
なんだかとてつもなく難しい顔をしているけど、なんでだろう?
そんなに難しくは書いていないはずだし、蕾ちゃんが理解できないことはないはずだし‥‥。
「何だか申し訳ないっす‥‥奈留ちゃんにこんなに親切にしてもらってるのに、なにも返せないっすし‥‥」
「別に蕾ちゃんの為ならどうってことないよ、それに発明品とか見せてもらったり楽しいし! ‥‥それより作れそう?」
「練習してみないことにはってところっすね。 でも、奈留ちゃんにここまでやってくれて、頑張らない選択肢などないっす!」
「オッケー、じゃあ始めよっか」
そうして、私たちはまず、分担して料理を何回か作ることにした。
◇◆◇◆◇◆
「あ、美味しい‥‥美味しいよ! 蕾ちゃん!」
「ホントっすか! ‥‥でもまだ奈留ちゃんに手伝ってもらってるっすし‥‥」
「いやいや、私もうほとんどなにもしてなかったよ! 本当に凄いよ蕾ちゃん」
もっと時間がかかると思っていたけど、パスタと役割分担がとてつもなく蕾ちゃんに合っていて、すぐに美味しくなり始めた。
これは広葉と花さんに感謝だね! 聞かなかったらもう少し時間がかかっていたかもしれない‥‥。
いや、合っていたとしても、やっぱりこれは蕾ちゃんが頑張ったからだろう。
「そ、そうかな‥‥エヘヘ」
「うん、あとは森田さんの前でも、今のことを一人でできるかだけど‥‥」
「無理無理無理無理無理」
「ですよねー」
流石にそこまで無理と言われるとは思わなかったですけど、好きな人の前でやるって緊張しちゃうもんね。
ほめられて喜んでいたのに、急に青ざめちゃったし。
「ひーくんに食べてみてほしいとは思うっす‥‥。けど、ひーくんに何て言って私の料理を食べてもらうとか考えたことなかったっすよ‥‥」
まぁ、広葉を呼び出して蕾ちゃんの料理を食べてほしいって、それもう好きだとストレートに言ってるみたいなものだしね‥‥。
さすがの広葉もそう思うだろう。
「皆呼んで、その中の一人に森田さんがいるっていうのは‥‥なし?」
「それも考えたっすけど‥‥ひーくん優しいからきっと不味いものも美味しいって言ってくれると思うっす」
優しいかはともかくとして、皆でいて蕾ちゃんが作ったとなったら、美味しいって言ってくれるだろうね。
蕾ちゃんはきっとお世辞のような美味しいは望んでないんだろう。
「回りに流されちゃいそうだね‥‥」
「出来れば、私が作ってるのは気付かれないとありがたいっす‥‥」
「蕾ちゃんはそれでいいの?」
「はい、忖度なしでひーくんに評価してほしいっすから」
何だかここまで頑張ったのに、もったいない気持ちもするが、蕾ちゃんがそうしたいならその気持ちを尊重すべきだよね。




