403 女性の気持ち?
「はぁ、全く。 女になっても女の気持ちってわからないもんだな」
「あはは‥‥まぁ、広葉の場合は別に詩唖先生をしているだけで、男のままだからね」
いや、もしかしたら詩唖先生すら演じてないかも‥‥。
うん、広葉は広葉のままだよ。
「陸はもう、完全に女だよな」
「いや、そこまでじゃないと思うよ。 一緒にいてわからないこととか結構あるし」
だからだろうけど、由南ちゃんという存在は私にとっては、女性のお手本のような感じだ。
本当に由南ちゃんと親友でよかったよ。
「でも、女子として付き合ってるだろ?」
「あ~、いや信くんと一緒にいるときはあまりそういうことは気にならないんだよね。 同じ境遇だからかな?」
男女関係なく、私という存在としてだからね。
そもそも男女とか気にしてたら付き合っていたかどうかもわからない。
まぁ、そんなもしものことを考えたらきりがないけど。
「そういうもんなのか」
「信くんもたぶん同じ気持ちだと思うよ。 ‥‥違ってたら怖いから聞いてないけど」
今後も絶対に聞かないだろうなぁ‥‥。
「本当に初めはどうなることかと思ったが、陸が妹になって、俺も話すときは特に違和感がなくなってきてるから、人間の順応性ってすげーよな」
「確かに。 初めは詩唖先生の皮を被った広葉に違和感しか感じなかったけど‥‥いや、今も若干違和感あるね」
ま、今はっていうのは冗談だけどね。
「あるのかよ! ‥‥まぁ、性格が離れすぎてるからな」
「そうなんだよね‥‥前世ではちょっと頼りないけど綺麗な先生のイメージが強かったから、仕方ないね。 ‥‥あ、そうだ! そういえば、前からするって言ってた詩唖先生と体を戻すって言ってたのどうなったの?」
「一応、徐々には実験してるみたいだぞ。 まぁ少し前まで透明化出来る発明品を開発してたから遅くなってるが‥‥。 調べたいことがあるからもう少し待ってくれって言われてな」
「広葉を後回しするなんてよっぽどなんだね」
「未知に関して好奇心旺盛だからな、あの蕾も、小さい蕾も。 それと後回しじゃなくて同時進行だけどな。 それでもまだもう少しかかるみたいだ」
広葉に関わることは最大限に安全性を高めてるんだったよね。
愛されてるなぁ広葉。
「じゃあ、まだ少しはこのままなんだね」
「あぁ、だから女性でしかできないことをたくさんしようと思ってな」
「な、何するつもりですか広葉!」
あんまり変なことしたら怒られますよ、花さんに。
「何するって、あれだよ。 レディースデイのあるお店を全力で回ることだな。 男に戻ったら定価だから」
確かに女性しかできないけど! なんかスケール小さくないですか広葉!?




