401 聞いてたみたいです
蕾ちゃんが、美味しい料理を作れるようになるため、料理教室を開いていたのだが‥‥。
少しずつ美味しくなってはいるのだが、どうしても何かが足りないような感じがする‥‥。
そこで一旦、解散して私はとある人物に会いに行こうと思い、その人のお家に向かった。
急に家に来た私に、特になにか言うこともなく、入れてくれた。
「それで、何だ陸。 急に来るなんて珍しいな」
「うん‥‥ちょっと広葉に聞いて欲しいことがあって───」
相談に乗ってくれそうで、尚且つ解決法を知っていそうな、詩唖先生、もとい広葉に話を聞いてもらうことにした。
「───そういうわけなんだけど、蕾ちゃんが料理が上手くなる方法とかある?」
「う~ん、つまりは陸は、こっちの蕾について聞きたいってことか?」
「うん、蕾さんって、今は料理出来てるんだよね? コツコツ頑張ってっていうのはそうなんだろうけど、何かコツみたいなものがあれば教えてもらえないかと思って」
ちょっとズルいような気もするけど、好きな人のために頑張っているなら、私も出来るだけ力になりたいと思うから。
「まぁ、でも蕾も作れるようになったのは先生が一緒に作り出してからだしな‥‥。 だから一緒に作るってことが大事なんじゃないか? ほら、一品作るのって大変だから、まずはどこかの工程から覚えていって、それを覚えていったら次みたいな感じで」
「そういう感じか~」
「まぁ、こっちの蕾の話だからわからんがな。 それに料理が出来るようになったと言っても、下手くそな料理は未だに下手だぞ蕾は」
「そうなの?」
何だか予想外というか‥‥まぁ、一つ作れたら全部作れるなんてことはないよね。
「おう、この前、全然味しなくて不味───」
「何が不味いって? ‥‥ひーくん?」
「つ、蕾!? 何でもないぞ!」
びっくりしたー!! いつの間にか扉の所に立っていて、驚きで心臓が‥‥。
「どうせ私の料理は不味いですよーだ。 まぁ、それに私はあまり料理しませんしねー」
「全部聞いてやがった‥‥。 別にするなとは言ってないぞ。 うまいのはうまいし」
「今更、持ち上げようとしても遅いです。 不味いものは不味いですもんねー」
花さん、拗ねていらっしゃる‥‥。
まぁ、好きな人から不味いと言われたら怒るのも無理ないかもしれないけど‥‥。
「陸、ここはどうしたらいいと思う?」
「私に聞くの!? い、いやここは素直に謝るべきなんじゃない?」
小声で聞いてきたので、出来るだけ花さんに聞こえないように私も小声で返す。
「そ、そうだな。 そうする」
その後、私は広葉が謝ると共に隣でフォローすることにつとめた。
元はといえば私が料理の相談をしだしたから、こんなことになってるんだし、出来るだけ花さんを落ち着けなければ‥‥。




