400 料理に起こる不思議な現象
「美味しくはないわね。 だって無味だもの」
「食べられないことはないけど‥‥。 いや、どうなってるんだろう‥‥何でこれだけ材料が入っていて無味‥‥」
一体この料理にどんな現象が起こったんだろう‥‥。
「一番微妙っすよね! もっと気絶するほど不味かったら、逆に面白くなって作るんっすけど」
「なに、毒生成しようとしてるのよ‥‥。 流石にそんな漫画みたいな料理あるわけないでしょ。 でも、無味だと逆に怖いわね‥‥遅効性の毒?」
「あるわけないとか言いつつ、疑ってるじゃないっすか!」
でも、本当に怖いのは確かだよね‥‥。
だって調味料とかいれたりしているところもちゃんと見たはずなのに、味がないとは‥‥。
「ある意味、すごい才能なのかも‥‥」
「料理を無味にする才能なんていらないっすよ‥‥! というか、本当にどうしてなんっすかね?」
そんなにはっきり間違っているとかはないと思うんだけど‥‥。
「ちょっと一緒に簡単なもの作ってみる?」
「お願いしますっす!」
こうして、何故か蕾ちゃんの為だけの料理教室が開かれることになった。
◇◆◇◆◇◆
「う~ん、ちゃんと見ていて、味もつけて、玉子焼きを作ったはずなんだけど‥‥。 何でだろう」
今度は最初から最後まで一緒にいたんだけど‥‥。
「調味料を瞬間移動させるなんて、蕾またそんな発明品を」
「なんすか、そのいらない発明品!?」
絶対にそんなの作るより、料理作る機械を作る方が蕾ちゃんとしては楽だと思うよ?
「でも、どうしてなんだろうね。 さすがに玉子だから無味ってことはないけど、玉子の風味しか感じないんだよね」
「まぁ、素材を楽しむという点では、ありよね?」
それは励ましなんですかね由南ちゃん‥‥。
まぁ、焼いただけでも美味しいけどね、卵は。
「それは全く進歩してないということっすよね‥‥。 くっ、これはひーくんに食べてもらうにはまだまだっすね‥‥」
小声だったが、蕾ちゃんが広葉のことを言っているんだということがわかった。
もしかして‥‥。
「あ、蕾ちゃん、森田さんに食べてもらいたくて、料理に興味を‥‥」
「あ、えと‥‥あはは‥‥。 それより奈留ちゃん、もう一回いいっすか?」
やっぱりそうなのか、蕾ちゃんは少し頬が赤くなっていた。
それなら、私ももっと一生懸命、蕾ちゃんが作れそうなものを考えないとね。
「うん、大丈夫だよ。 ちゃんと美味しいもの作ろう!」
未来の蕾ちゃんである、花さんも料理を手伝ったり作れたりしてるみたいだし、蕾ちゃんもきっと美味しく作れるようになると信じて、私はもう一度準備を始めた。




