398 時間があっても?
食材を買うため、スーパーに買い物に出ている、私。
何だかスーパーというと信くんの顔が浮かんでくるようになり、何だかちょっと嬉しいような、恥ずかしいような‥‥。
まぁ、すぐに切り替え、何を買うか迷っているのだが‥‥。
すると何処からか、声が近づいてくるのがわかる。
「‥‥なるちゃ───ん!!」
「きゃっ!」
背中に何かぶつかる衝撃と共に、誰かに抱きつかれているのがわかる。
「何してるっすか!」
何だ、蕾ちゃんですか‥‥。
いきなり抱きつかれたら驚くよ全く‥‥。
「蕾ちゃん。 普通に買い物だよ。 ‥‥というか、蕾ちゃんがスーパーにいるって違和感があるね」
「確かにスーパーに来るのは今日が初めてな気がするっす‥‥」
「やっぱり‥‥。 じゃあ、なんでいたの?」
「いや、十五分前に奈留ちゃんを見つけて、そのまま尾行を‥‥」
十五分前ってスーパー入るより前じゃないですか!
「声かけてよ! 何で声かけてくれないのさ」
「ちゃんとかけたじゃないっすか」
「遅いよ‥‥」
もうちょっと早めに声をかけてほしかったよ‥‥あと、体当たりもやめてもらえると助かります。
「じゃあ、私も買い物に付き合っても良いっすか?」
「うん、大丈夫だよ」
こうして、蕾ちゃんと二人きりで買い物をすることになったのだが、何だか二人きりって久々なような気がする‥‥。
◇◆◇◆◇◆
「奈留ちゃん、結構大量に買ったっすね。 これが主婦‥‥」
「主婦じゃないから! 全く‥‥それで、蕾ちゃんも何か買ってたみたいだけど、なに買ってたの?」
「えっと‥‥カップ麺と‥‥お菓子?」
「独り暮らしならではだね! ‥‥というか、変わってないね。 まぁ、蕾ちゃん色々と忙しいだろうから、あまり食には時間を使いたくないんだろうけど‥‥」
家に行ったときもそんな感じで、最終的に私の家で食べたもんね。
「時間はあるっす。 でも、時間はあっても不味いっす!」
「味の問題!?」
前にもどこかで聞いたような気がするけど、そんなになの!?
「前にも言ったかもですけど、そうなんっすよ、不味いんっすよ。 ちゃんとレシピを見たりしてるんっすけどね」
「レシピ見て駄目って、分量を間違えたとか?」
「いえいえ、細かく量ったりもしたことあるんっすけど‥‥。 不味いんっすよね」
なにその謎の現象‥‥。
「一度でいいから作ってもらうことって出来る?」
「いいっすよ~! でも本当に期待とかはしないでほしいっすよ」
う~ん、何でも出来る蕾ちゃんがそこまで言うってことはそうなんだろうけど、一体どんな味がするんだろう‥‥。
た、倒れたりしないものだったらいいなぁ‥‥。




