397 車に興味?
夕御飯のあと、私がお皿を洗い終わり、リビングのソファーで座っている兄さんを見ると、何か雑誌を読んでいるのが目にはいる。
「兄さん、どうしたの? 雑誌なんて普段読んでないのに‥‥車? 兄さん、車興味あるの?」
「いや、格好いいとは思うが、別に車名でこれ欲しいとかはないぞ。 まぁ、普通だな」
それなら、なんで見てるのさ‥‥いや、別にいいけども。
まぁ、前世は私も特に興味とかはなかったし、兄さんも同じような感じなんだろうね。
「じゃあ、なんで突然‥‥?」
「ほら、俺そろそろ十八歳だから、免許とろうかなぁって。 それで雑誌を見て、気分を盛り上げようと」
なるほど! それで車!
あ、兄さん誕生日早いもんね。
私も陸だったから、前世では誕生日早かったんだけどね~。
「でも、突然だね。 あまり車に興味のない人は、急いでとらないイメージがあるけど‥‥?」
「車にはそこまでだが、移動手段としてはいいだろ? 奈留と遠出し放題!」
それでですか!
‥‥確かに車って便利だもんね。 それに車で遠出ってワクワクするし。
「それは楽しそうだね♪」
「そうだろう、それに速攻とって、広葉に見せびらかしてやりたいしな」
兄さん‥‥。
それが主な理由じゃないですよね?
そういえば前世の時は、広葉に誕生日早いんだから、とった方がいいって急かされてたっけ‥‥。
まぁ、とる前に死んじゃったから、特に運転したとかはないんだけど。
「でも、免許とっても車とかまだ買わないんだよね? なら急いでとらなくてもいいんじゃ‥‥」
なくちゃ、遠出とか出来ないよ?
「まぁ、急いでとってもペーパードライバーになるだけかもしれないが、遠出するときはレンタルすればいいし、一応な」
なるほど、レンタルね。
「兄さんがそこまで決めてるなら私は止めたりしないよ」
「そっか。 じゃあ、頑張る! でもやっぱり少し不安だよなぁ。 アクセルとブレーキ間違えて踏んだりとか」
「さ、さすがにないんじゃ‥‥」
兄さん、運動神経とかもろもろいいし‥‥。
「いや、ついこの前も近くのコンビニの駐車場でお年寄りがやったそうだぞ。 まぁ、お年寄りだからかもしれないがな」
「そうなんだ。 じゃあ、兄さんも気を付けないとね! というか、私は運転より、兄さんの学科の方が心配なんだけど」
「くっ! そういえばそうだった。 ‥‥俺にはやっぱり免許とれないわ」
諦めるのはや!?
さっきまでの話は一体なんだったんですか‥‥。
「一度決めたなら、頑張ってくださいよ」
「う~ん‥‥奈留、教えて?」
何言ってるんですか、この兄!
「無理に決まってるじゃないですか! 私、十五歳ですから! 免許持ってませんから!」
「そ、そこをなんとか‥‥!」
「そこをなんとかってなんですか! 忙しいから無理とかじゃないですからね? 私だって習ってないものはわかりませんよ」
本当に、勉強しないで解けるなんて蕾ちゃんくらいなものですよ、全く‥‥。




