387 帰って後悔
この話は蕾ちゃん視点です♪
『まさかそれで、逃げて帰ってきたのです?』
「うぅ‥‥だって、二人きりで喋るだけで、もう精一杯だったんだもん‥‥。 あと私の方が色々としてもらってお礼したいくらいなのに、お礼するとか言われちゃったらもうパニックで‥‥」
『もんって‥‥。 いえ、まぁ責めたりとかはしないですが、広葉様の電話番号やアドレスなど、蕾様の携帯に入っていないので、今からフォローとかもできないのです‥‥』
何度も会っているが、ひーくんに連絡先なんて聞くこと自体に失礼にあたるんじゃないかと思って、今まで連絡なんかもしたことがなかった。
なので、ひーくんに会うという手段以外に、ひーくんと喋ることが出来ないのだ。
「奈留ちゃんなら知っているとは思うけど‥‥そんな友達を経由してひーくんの番号を入手するなんて、悪く言えばストーカーだと思われたり!」
『さすがに飛躍しすぎです! それと、何度も顔を会わせてるわけですから、広葉様に電話をかけても何ら不思議はないですよ』
「ストーカーって思われない?」
『別に広葉様とはお友達なのですから、思われたりしませんよ』
アイちゃんの言葉でようやく、暗い気持ちから立ち直ることができた。
そうだよね。 ひーくん優しいから大丈夫かも‥‥でも、一応ちゃんと本人から聞くようにしよう。
『そういえば蕾様。 勉強会はどうだったんです?』
「楽しかったよ。 ひーくんとたくさんおしゃべりできたし」
あんなに長く隣にいたのは小学校以来じゃないかな。
うん、何だかあの頃の続きをしてるみたいで‥‥懐かしい。
それに‥‥頭撫でてもらえたし‥‥エヘヘ。
『蕾様、すごく顔がにやけてますです‥‥。 いいことあったんですね』
「うん、そうなんだよ~」
『頭を撫でてもらったんですね』
「え!? なんでわかったの? 見てた?」
『いえ、何度も手で頭を触ってましたので、そうなのかなぁと。 でも、よく普通に帰ってこれましたですね。 蕾様なら緊張して再起不能になりそうなのに』
アイちゃんは私のことをなんだと‥‥いや、その通りなんだけど。
「まぁ、触られた直後は意識を失いかけたけど‥‥」
『やっぱり‥‥』
「でも、そのあと一人にしてもらってなんとか、意識だけは保った‥‥と思う」
ひーくんが休憩しに出ていったのは何となくだが覚えているし。
『思うって、ほとんど意識失ってますですよ‥‥!』
「でも、頭を撫でてもらっただけで、あんなに幸せと戸惑いが同時にくるとは‥‥。 あ、そういえば奈留ちゃんにお礼をいってない!」
『奈留様にですか? 電話でいいます? それともメールです?』
「メールで言っておくよ」
奈留ちゃんもいろいろとあるだろうからね。
あ、そういえば、明日奈留ちゃんって‥‥。




