37 納得
家に帰ると、兄さんと広葉が迎えてくれるという、以前では何でだよ、と思っていた状況にも最近では慣れつつある。
コイツらいつもゲームやってんな。
前世で、こんなに私遊んでたっけ?
いや、避難といって広葉の家で毎日遊んでたね‥‥。
人のこと言えないね。
「奈留、お帰り」
「奈留ちゃんお帰り~」
「ただいま」
二人は一瞬ゲームをやめ、帰宅時、恒例の挨拶を済ませた後、またゲームを再開した。
「奈留ちゃん、そういえばこの前転校生の話してたよね」
広葉は視線はゲームに向けたまま、私に喋ってきた。
「してましたね」
勉強会の時ですね。
あの後も全然勉強しないなら、大変だったなぁ。
テストは、どうだったのかまた後日聞いてみるとして、転校生がどうかしたのかな?
「その転校生がきたのが今日だったんだよ」
「へぇ」
私のクラスの転校生と同じ日だったのか。
これは益々、何かありそう。
「その転校生が結構な美少女でね。 ね、陸?」
「俺に振るなよ。 まぁ、男共は盛り上がってたのは確かだな」
へぇ、それは是非とも仲良くなって、兄さんと付き合わせたい‥‥。
でもクラスの男子がそんなに騒ぐなら二人とも、結構好意をもったんじゃないの?
「で、二人ともメロメロだったと?」
「何をいうか! 俺は奈留一筋だぞ!」
「兄さんは、早く彼女作ってください!」
兄さんは私以外の誰でもいいから恋愛してください!
そもそも貴方が積極的にならないから、フォローの仕様がないんですよ!
「奈留ちゃんと美少女転校生‥‥俺はどうしたらいいんだぁー!!」
「死ねばいいと思います」
「じょ、冗談だよ? だからそんなに睨まないで」
冗談でもそういうことをいう人はダメだと思います。
あとたぶん転校生さんは、広葉はお断りだと思います。
「あ、いい忘れてたんですけど、私のクラスにも転校生が来たんですよ」
話の流れで一応話しておこう。
「そんな偶然あるんだな」
「もしかしたら兄弟なのかもね。 奈留ちゃん、その転校生の名前何て言うの?」
あぁ兄弟なら納得だね。
同じ日に転校してきても何ら不思議はないし。
「磨北信さんという名前です」
「納得だ」
この話の途中、私は何処かでそうなんじゃないかと、思い始めていた。
話が出来すぎているのはわかるが、そう思わずにはいられなかったのだ。
「そうだね。 じゃあやっぱり、姉弟なのかも。 俺らのクラスの転校生は───」
前世で好きだったあの子なのかもしれない。
まだ一年は会えないと思っていたあの子。
もしかしたら‥‥。
「───磨北祈実って名前の子だよ」
やっぱり‥‥あの子だ。




