380 蕾の寝起き
蕾ちゃん視点です!
『───様? 蕾様! もう昼なのですよ』
私、蔭道蕾は自分で作ったAIである、アイちゃんに起こされ、一日が始まる。
毎日起こしてもらっているのだが、今日は一段と眠い。
昨日は一緒に泊まれることが嬉しくて、はしゃいじゃって寝てないから、今日寝ても蓄積された疲れがとれてないんだね。
でも仕方がないよ。 友人だけでホテルに泊まるなんて、楽しすぎて私にとっては寝る時間も勿体なく感じてしまったのだから。
しかし今、最高級にしんどいのには変わりないので、全くベッドから起きれないでいるし、頭も全然回っていない。
「あいちゃん‥‥おは‥‥‥‥ねむぅ‥‥」
『おはようございます。 いつも以上にしんどそうではありますが、体の方は特に問題はなさそうです。 しかも、いつも体温が低いのですが、それがいつもより高いですです♪』
「三十五度八分‥‥少しだけだね‥‥。 ありあと‥‥」
『はい、それでは用事があればお呼びくださいね』
そういって、アイちゃんが消える。
はぁ‥‥眠い。
寝ると、寝起きが辛いから出来るだけ寝たくないんだよね。
‥‥でも今の時間から二度寝は流石に寝過ぎだし‥‥。
アイちゃんに起こしてもらって起きないのも悪いし、起きますか‥‥。
そうして起きようとして、シーツに足を引っ掻けてしまい、ベッドから転げ落ちて、私はようやく目が覚めた。
◇◇◇◇◇◇
朝ごはん‥‥いや昼ごはんを食べている最中、昨日のことを思い出し、今の現状がなんだか寂しく思えてしまう。
「‥‥はぁ」
『どうかしましたか?』
「いや、人っていうのは一度幸せになるとダメになると思って。 もっと一緒にいたいと思うのは我が儘だよね」
『お二方が不快にならなければよいのでは?』
「その辺り、人の気持ちというのがわからないんだよ~! こんなに仲良く遊べる友達なんて初めてで‥‥」
だから、空回りちゃうし、嫌われないかと色々と考えてしまう。
「奈留ちゃんみたいな完璧さんになりたいなぁ‥‥」
『蕾様は気にしすぎというか‥‥‥‥っと、奈留様から電話です』
え? 奈留ちゃんから?
一体なんだろう‥‥。
私は気持ちを切り替え、通話ボタンを押す。
「‥‥あ、もしもし奈留ちゃん? どうしたっすか?」
『蕾ちゃん。 お忙しいところごめんね。 ちょっとお願いしたいことがあってね。 電話したんだ』
「暇っすから大丈夫っすけど、お願いとは‥‥?」
『ちょっと、森田さんに勉強を教えてあげれないかなぁって。 蕾ちゃんなら高校の問題もスラスラ解きそうだし』
勉強を教えるか‥‥‥‥え、ひーくんに!?