379 頑張らない二人‥‥
「あ、奈留ちゃん、由南ちゃん。 二人で出掛けてたんっすか!? 別行動してたと思ったから仕事してたのに、また仲間外れ‥‥」
べ、別に仲間外れにしたかった訳じゃなくて、仕事だと思って邪魔したくなかったというか‥‥。
「ごめんごめん。 それで、呼び出したのはなんで?」
「そろそろ帰ろうと思って連絡したっす」
「連れてこられたときも思ったけど、急なのよね。 まぁいいけど」
あはは‥‥まぁしっかり楽しんだから、悔いとかはないけどね。
「ご、ごめんなさいっす。 まぁ、次はホテルより凄いもので驚かせたいっすね~」
「全然反省してないわね‥‥」
「蕾ちゃんらしいね」
その後、行った時と同じように蕾ちゃんが用意した車で自宅へと送ってもらった。
◇◆◇◆◇◆
家に帰った私は兄さんと広葉の相手をしながらキッチンに立っていた。
帰った瞬間、奈留の料理が食べたい! っていうんだからなぁ‥‥。
「へぇ、じゃあ蕾ちゃんが関わっているホテルに泊まらせてもらってたんだね」
「えぇ、そうなんです。 森田さんは教えてもらったりしてないんですか?」
「え? なんで俺?」
「あ、えっと‥‥」
それは蕾ちゃんがあなたのことが好きで、何かあれば知らせたいんじゃないかなぁと‥‥って言えたらいいんだけど、言えるわけないよね。
「でも、泊まるなら泊まるって言っておいてほしいぞ、奈留」
「あぁ、ごめんね? 私も直前まで知らなかったから。 行っていた間、ちゃんと兄さんご飯食べてた?」
「それは大丈夫だ。 コンビニですべて済ませた」
「もう、自分でも作れるんですから、作ってくださいよ」
「すまんな」
本当に言わないと作ろうとしないんですから。
「いつものことだけど、兄と妹のはずなのに、奈留ちゃんが母親で陸が子供みたいだね」
「まぁな」
「なんで納得しちゃってるんですか‥‥。 もうそろそろ高校三年生になるんですから、少しは頑張って下さいよ」
本当に兄さんの将来が心配で仕方がないよ‥‥。
「あはは、陸が奈留ちゃんに怒られてる!」
「ふっ、二年最後のテストで自己最低点をとった森田広葉くんには笑われたくないな」
「それ今言う必要ある!? あ、奈留ちゃん、たまたまだよ、あはは‥‥」
まぁ、今言う必要はないけど、広葉は勉強をもっと頑張って下さいよ。
テスト前も、後も、ゲームしていたイメージしかないですし‥‥。
これは偶然ではなく必然ですね。
‥‥あ、そうだ! 蕾ちゃんが広葉に勉強を教えたらいいんじゃないかな?
まぁ、蕾ちゃん忙しいだろうけど、広葉に教えるということなら少しくらいなら受けてくれそうだし。
今日別れたばかりだけど、ちょっと明日辺りに蕾ちゃんに相談してみようかな?