378 由南ちゃんの服選び
最上階から降りた私は、由南ちゃんに呼び出され、今現在ホテルの近くのアパレルショップに来ています。
それと同時に着せ替え人形と化してます‥‥やはりこうなったか。
緊急事態だからすぐ来てと言われて、行ってみたらこれだからなぁ‥‥。
「由南ちゃんが買うものを私が着て意味はあるのでしょうか‥‥」
試着ってサイズとかそういうのも気にしたりして着るものじゃないの?
「色とかも含めて、着ているところを客観的に見たいじゃない。 うん、ちょっとイメージとは違うけど、似合ってるわよ」
「あ、ありがと‥‥いや、私が似合っても意味がないのでは‥‥」
私が買うわけでもないんだし。
「意味はあるわよ、私が見たいから」
「そんな理由!?」
完全に自己満足!
「それより奈留は何か気になる服とかないの?」
「ん~何かって言われても私、服とか詳しくないし‥‥。 基本的にスカートならスカートとしか認識してないというか‥‥。 今着てるスカートもわからないし」
「私も別に詳しい訳じゃないけど‥‥でも今、奈留が試着しているスカートはフィッシュテールスカートだと思うわよ。 まぁ、名前なんてどうでもいいのよ。 別に直感でこれが好きとかでもいいから選んでみましょうよ?」
う~ん、あまり自信はないけど、由南ちゃんがこう言うので、普段は興味がないが、少し自分でも興味が湧いてきた。
「そ、そうだね。 少し選んでみようかな」
その後、私一人でコーディネートをしてみることになったのだが‥‥。
◇◆◇◆◇◆
「なんだか凄くボーイッシュなファッションね」
自分では無難なものを選んだつもりだったのだが、やはりこういうことろで、まだ前世の部分が出てるのだろうか‥‥。
それとも私がただ好きなだけ?
「へ、変かな?」
「変じゃないけど、違和感はあるかな。 いつもフワフワした感じだから。 奈留ってお兄さんに服を選んでもらってるのよね?」
「うん、何故か責任感とこだわりをもっているみたいで‥‥ちょっとよくわからないけど」
「お兄さんってやっぱり奈留のこと一番わかってるわよね。 凄いわ」
えっと、つまりはいつもの格好がいいってこと?
まぁ、私も可愛い服だなぁとは思うけどね。
「‥‥今回私が服を選んだ意味って‥‥」
「いやまぁ普段とは違っていいとは思うわよ? ‥‥あ、蕾からメールきてる。 仕事終わったからホテルのロビーで待ってるって」
あ、なんか色々誤魔化された。
それはそれとして、蕾ちゃんは仕事で疲れただろうし、直接ここに来ることはないだろう。
「じゃあ、戻る?」
「そうね。 次、服を買いに来たときは奈留のも選んであげるわね」
「で、出来ればお手柔らかに‥‥」
今日より大変だろうなぁと思い、私は少しだけ消沈した。




