377 消えた?
「本当にアイが余計なことを言うから疲れたわ‥‥」
あの後、花さんとアイちゃんで言い争いをしていたが、相手はAIだし疲れることがないだろうからね。
結局、花さんが折れて終息した。
『素直に言えばいいのに。 まぁ、それが良いところでもあるんですが‥‥。 っと、夕闇さんこんなのですが仲良くしてやってください』
「こんなのってなによ‥‥」
一応、花さんは作ってくれた張本人だけど、そんなこと言って大丈夫なの、アイちゃん!?
‥‥いや、花さんもそこまで怒っているわけでもないし、きっと二人は友達としての関係性なんだろうな。
「あはは、こちらこそ」
『よし、それじゃ、蕾。 そろそろ帰りましょうか。 今も防犯カメラ騙しているけど、もしかしたらそれがここのAIに気付かれるかもしれないので』
「そう。 じゃあ帰るわ。 夕闇さん、今度またゆっくり話しましょう」
「はい、また‥‥」
すると花さんはまた空中の何もないところで、手を動かして何か操作をした。
すると、それと同時に花さんの姿が消えた。
「え? ‥‥え!?」
先程まで確かに花さんがいたはず‥‥え?
ま、まさか‥‥幽霊!? あの廊下で出会った人みたいな、もしかして幽霊が花さんに化けて‥‥。
い、いやいやいやそんなまさか! でも、消えた‥‥よね?
人間が消えるなんてあり得ないし‥‥というか、本当に花さんだった? いや、話した感じは確かに花さんだった。
‥‥いや、待てよ。 花さんなんだから常識にとらわれてはいけない。
蕾ちゃんよりも凄いんだ、私の想像を遥かに越えることをしてくるはずだ。
「つまり‥‥瞬間移動か!」
「流石にそこまでは無理よ。 透明化しただけ」
さっきまで花さんがいて、今は誰もいないところから花さんの声が聞こえる!?
ほ、本当に透明になってるのか‥‥。
「な、なぜ透明になる必要が?」
「機械は誤魔化せても、人の目は誤魔化せないでしょ? あなた以外に見つかるのは面倒なのよ」
た、確かにここには蕾ちゃんもいるから、偶然会うこと考えられるわけか‥‥。
でも、まさか透明って‥‥。
『ついこの間作ったばかりなんですけど、今日は人の多い場所での実験も兼ねてるんですよ』
あまり外に出るイメージはないけど、ホテルを見たかったほかに、自分の実験もやっていたとは。
まさに効率的に動くというか‥‥無駄を減らしたい人なんだね。
「まぁ、そういうわけだから。 驚かせてごめんなさいね。 今度こそさようなら」
『また会いましょう♪』
「はい!」
そうして、私は花さんと別れ、もう少しその階を見て回った後、エレベーターで降りることにした。
‥‥あ、携帯の電源をつけておかないと。
◆◇◆◇◆◇
「アイ、このホテルには形跡はあった?」
『たぶんですが、それっぽいものは。 なんの目的かまではわかりませんが‥‥』
「それで充分よ。 まぁ気長にいきましょうか」
『蕾は目的がないと外に出ないからなぁ』
「私は忙しいのよ。 ほら行くわよ」