370 もう一度考えて
「はわぁ‥‥いい湯っすね‥‥」
私はもうクタクタだよ‥‥。
あのあと、蕾ちゃんの頭を洗ったりもして、その時は目を開けなきゃいけないから大変だったよ。
まぁ、今も状況は変わってないわけだけど。
「何で、三人で湯船入ってるのか‥‥狭くない?」
「狭いわね」
あ、由南ちゃんもそう思うんだね!
「これでも普通よりは広いんっすけどね。 まぁ、いいじゃないっすか。 人肌を感じられて安心感も‥‥」
「ここに変態がいるわ!」
「ちちち、違うっすよ!? そういう意味でいったわけじゃなくてっすね!」
まぁ、仲良く入るっているのは、いいことだろうけどね‥‥私はもう限界だけど。
「わかってるわよ。 それよりこのあとは何かする予定はあるの?」
「別に部屋でダラダラするだけっすよ~。 夕食を食べるとかで外に出るとかはあるはずっすけどね」
「じゃあ、私はそろそろ上がるね。 そろそろのぼせちゃいそうだし‥‥」
「そう、ごめんね奈留。 無理矢理付き合わせちゃって」
「あ、ううん。 恥ずかしかったけど楽しかったから」
見なければ、皆でワイワイできて、一緒に入るのは良いなって思うし。
「じゃあ、また一緒に入るっす! ‥‥明日?」
「すぐはやめてね!?」
そうして、私は二人より先に、浴室から出ることにした。
◇◆◇◆◇◆
先に上がった私は一人で携帯の画面を見ていた。
ネットサーフィンをしているとかゲームをしているとかではなく、信くんに送るメールの文面を考えているのだ。
蕾ちゃんに誘われる前にどうしようかと思っていたことで、結局、いいやと諦めていたが、時間が空いたので少しでも考えようと思ったわけなんだけど‥‥でも全然思い付かない。
「奈留、何してるの?」
由南ちゃんが後ろから話しかけてくる。
先程上がったのか、由南ちゃんの髪が濡れていて、いつもより更に大人っぽいというか、色っぽい。
‥‥いやいや、それよりも!
「いやこの休み中に信くんを誘おうと思ってるんだけど、何て言えばいいかなぁって」
「そんな悩むことないんじゃない? ただ‥‥デートしよ♪ って言えばいいのよ」
由南ちゃんの声が急にピュアな声で、めちゃくちゃ可愛い‥‥って今はそういうことじゃなくて!
「それができないんだよね‥‥。 何だか目的地がないと誘いづらくて」
「奈留らしいと言うか‥‥バカ真面目というか‥‥」
バカって! いや確かにそうかもしれないけども。
「あはは‥‥でもやっぱり、もう少し考えてみるよ」
こうやって由南ちゃんに相談しているのは自分の甘えが出ているのかもしれないしね‥‥。
人に頼るのはいいこともあるだろうけど、今回に関しては私だけでやるべきことだ。
「そう、じゃあ私、髪乾かした後、飲み物買ってくるけど奈留なにかいる?」
「私は大丈夫。 ありがと」
由南ちゃんがいなくなり、私はまた画面に目を向けた。
 




