367 買ったものを着てみよう
買い物が終わった私達の数分後、部屋に戻ったという連絡をうけ、蕾ちゃんが少し息を切らしながら帰ってきた。
「はぁ‥‥‥‥全く、買い物の時間を潰されたのは許せないっす」
「別にいつでも出来るんだからいいじゃない」
それに、仕事のことの方が大切だしね。
「それはそうなんっすけど、私は遊びに来たのに‥‥仕事引き受けるんじゃなかった‥‥」
そこまで!? ただこの仕事引き受けなかったら、ここに来ることなかったから、必然的に買い物もなくなるのよ?
「どれだけ買い物楽しみだったのよ。 ほらまた行けばいいでしょ。 それより、ほら蕾の分もかってきたわよ」
「ありがとっす♪ ‥‥え、これ‥‥」
機嫌が良くなったと思えば、蕾ちゃんは由南ちゃんが選んだ着ぐるみのパジャマをじっと見たまま、固まってしまった。
や、やっぱりあわなかったよね‥‥。
私だって由南ちゃんに渡されたけど、着るとなるとちょっと勇気がいるし‥‥。
やっぱり全力で止めておけばよかったかな?
「‥‥めちゃくちゃ可愛いっすね!」
あれー? まさかの気に入っちゃって固まっていたんですか!
こういうのは女の子にしかわからないものなのだろうか‥‥いや私も今は同じはずなんだけど‥‥。
「じゃあ、今から一回着替えてみましょうか!」
え、今から着替えるの!?
◇◆◇◆◇◆
着替えてみて、考えていた恥ずかしさの倍は恥ずかしく、どうしても、着替え直したいんだけども、由南ちゃんと蕾ちゃんがそれを許してくれない。
「奈留ちゃんの方は猫なんっすね」
「確かに猫は好きなんだけど、自分がなる必要は‥‥。 あと由南ちゃん、私を本当の猫にするように、抱き締めるのはやめてほしいんですが!?」
最近は忘れていたが、由南ちゃん可愛いもの好きだったね、特にぬいぐるみとか‥‥。
だからといって、抱きつくのは色々と困るし、恥ずかしいので、やめていただきたい!
もしかしてだけど、この着ぐるみパジャマ買った理由ってこうするためだったのか!
「別にいいじゃない。 はぁ、もう一生このままでもいい‥‥」
「じゃあ、今日はこれで過ごすっすよ!」
「えぇ!? 流石にこのあと外に出たりするでしょ? その時は脱ぐよね? ね?」
他の人に見られたら、恥ずかしくて、部屋から一生でない自信がありますよ!
「まぁ、それは流石にそうっすね。 だけど、この階は私達しかいないっすから、階を降りなければ、このままでも問題ないっすよ!」
ま、まぁ着替えるならいいけど、別に廊下もこの格好で出たりはしないからね!
‥‥‥‥あれ? 何だかわからないけど、妙に何か引っかかるな。
何か変だと思ったんだけど‥‥何だろう。




