365 廊下で出会ったとある女性
本日二話目です!
結果的に服など、泊まるための買い物は私たち二人でお店を見つけ出し、買うことに‥‥。
近かったからよかったけど、知らない場所だから迷ったりするかもだしね。
でも、色々とあってよかったよ。
「蕾の部屋着の分も買ったけど、これでいいかしら」
由南ちゃんが見せてきたものは、ふ、フードの‥‥いや、着ぐるみ? パジャマとして売られていたけど‥‥。
「蕾ちゃん、着るかな?」
「きっと、泣いて喜ぶわね」
ほ、本当かなぁ‥‥?
私には蕾ちゃんが拗ねる未来しか見えないけど‥‥。
「ま、まぁ可愛いけどね」
「‥‥あ、ちょっと買いたいものが新たに出来たから、奈留先に帰ってて」
え、今? 何か買いたいものを思い出したのだろうか‥‥?
「わ、わかった。 じゃあ先に部屋にいってるね」
小走りで店に戻っていく由南ちゃんを見送り、私は一人でホテルに戻った。
◇◆◇◆◇◆
私たちの泊まる部屋の階の廊下まで来たところで、向こうから女の人がこっちに歩いてくるのがわかる。
プレオープンって言ってたし、この女の人もホテルの関係者か何かなのかな? ‥‥でもそんな格好には見えないけど。
私は特に気にすることなく、その女の人の横を通りすぎたのだが、少し歩くと絨毯の上に本が落ちていた。
‥‥さっきの女の人かな?
下が絨毯だから、特に音がしなくて気付かなかったのかも。
今からでも追いかけたら‥‥よし、行こう!
そうして、私はさっきの女性を追いかけた。
◇◆◇◆◇◆
「あ、ありがとうございます!」
はぁ、はぁ‥‥やっぱりこの女の人のだった‥‥。
ちゃんと追い付けてよかった~!
「よ、よかったです。 はぁ‥‥‥‥え?」
あまりちゃんと拾った時に見ていなかったから気付かなかったが、手渡した本は私がここ最近で一番見たことのある本だった。
「どうかしました?」
「いや、私も知っている本だったので」
私の回り以外で、知っている‥‥というか、持っている人がいなかったので、驚いたというのもある。
「あ、この死と夢の楽園ですか? 面白いですよね」
「そうなんですよね! だけど持っている人が少ないから驚いてしまって」
‥‥あっといけない、好きなものを話すとつい、大きな声に‥‥自粛しないと。
「少ない‥‥ですね。 でもあの人は僅かな人にでも読んでもらえているだけ喜んでいると思いますよ」
あの人? 何だか、作者さんとあったことがあるような口振り‥‥。
「あの‥‥もしかして、この本の作者さんと顔見知りなんですか?」
「えぇ、そうですね」
え、凄い! 何だか嬉しい! これは本の話を聞きたくなっちゃうよね‥‥!