364 蕾ちゃんは大変
今日は一周年ということで、二話投稿です!
「じゃあ、早速行くっすよ! あ、エレベーターもアイちゃんを使えばボタンを押さずに行けるっすよ」
「それになんの意味が?」
「いや、一緒に知らない人が乗ったときに、階数バレなくてなんかよくないっすか? 一応エレベーターの扉が開いたときの各階のエレベーターホールの見え方は同じなので、更にバレにくく───」
「あまりいらなくない?」
「ぐはっ! その言葉は結構心に突き刺さるっすよ‥‥」
ぷ、プライバシーという点ではいいんじゃないかな?
それに混んでたらボタンって押しづらいしね。
後は階数表記がないと、上がる時間がイライラしないとかあったような‥‥。
「使う人は使うんじゃないかな、うん」
「それ大人数が使わないって言ってるのと同じだと思うわよ、奈留」
「グハっ!?」
そういう風に言った訳じゃないんだよ、蕾ちゃん!
◇◆◇◆◇◆
蕾ちゃんに案内され、部屋につくと、様々なものを紹介された。
それは基本的にはAIに言えば何でもやってくれるというものだ。
電気は行く場所につけてくれるし、シャワーはほしいところでお湯を出してくれたり、温度調節をしてくれたり。
ほとんどが蕾ちゃんの家と同じような感じになって、更にはオシャレな家具なので余計によく見える。
しかし、早速よくわからないものがあった。
「蕾ちゃん、この壁の液晶パネルは何?」
「あーそれはAIをオンやオフにするためのものっすね」
でも、オフにしてもあまりいいことってないような‥‥。
それにさっき───。
「でも蕾ちゃん、さっきAIが嫌なら違うホテルにって言ってなかったっけ?」
「まぁ、そうなんっすけど、お偉い人に言われたんっすよね、そうしてって。 別にカメラじゃないんだから録らないし、データも残んないって言ったんっすけど、やっぱりオフにしておきたい時もあるだろうって」
「要望を聞いたり、結構大変なんだね」
「その分違うところで要望を通してもらったりしてるからどっこいどっこいっすね」
蕾ちゃん、どんな要望通したんだろう‥‥いや、何だか凄いこと叶えてそうだなぁ‥‥。
「それより、二人とも泊まるのに必要な服とかはどうするのよ?」
「あ、そうだ!」
すっかり忘れてたよ。
「それなら近くに色んな店があるので、そこに行くっすよ!」
そうして、私達は蕾ちゃんにつれられて、部屋から出た。
◇◆◇◆◇◆
一階に降り、ロビーを三人で歩いていると、前を歩いていた蕾ちゃんに話しかける人がいた。
ホテルの人のようで、蕾ちゃんに相談事があるようだ。
「‥‥はぁ、わかりました。 奈留ちゃん、由南ちゃん先に行っておいてもらっていいっすか?」
「あ、うん」
由南ちゃんと私は、いきなりで唖然としていたが、蕾ちゃんの仕事関係の事だとわかり、納得した。
「じゃあ、私たちだけでいきましょう」
「そうだね‥‥」
後で来るって言っていたからね。
でも、一つだけ蕾ちゃんがいてもらわないと困ることが‥‥。
「「お店の場所‥‥」」




