363 部屋に行こう!
「アイちゃんので見慣れてはいたけど、やっぱりわからないものだね」
今は目の前にいるけど、言われなければ気付かないよ。
「中身はアイちゃんなんっすよ? 体を変えているだけっす。 それだけなら技術的にはそこまで難しくはないし安上がりっすから。 まぁ顔は不気味の谷がおきないように気を使ったっすが‥‥」
確かにもう一度新しいAIを作るよりは、外側だけ変えるというのはいい方法かもしれないね。
それで、中身は同じだから記憶が繋がっているということで、情報交換が手早くできるし‥‥本当に凄いなAI。
「それで、これからどうするの? 受付して部屋?」
「部屋に行くのは、そうっすけど、そもそも今日はプレオープンのようなものっすから特に受付は必要ないっすよ。 それに私、関係者っすから! 三人部屋を用意してもらってるっす」
あ、プレオープンなんだね。 まぁ確かに人少ないなぁとは思ったけど。
というか、またプレオープンですか‥‥。
あとまた三人で寝るんだね、いや不満はないし、楽しいけど。
「そうなのね。 じゃあもう行きましょうよ」
私もどんな部屋なのか興味が出てきたので、行ってみたいかな?
「じゃあ、二人とも携帯にアイちゃんをダウンロードしといてほしいっすよ。 あ、奈留ちゃんはしてるから由南ちゃんだけっすね」
「え、なんで?」
「アイちゃんが鍵代わりなんっす。 なので、アイちゃんの許可がないかぎり部屋に入れないことになってるんっすよ。 私と奈留ちゃんがいるんで大丈夫だと思うっすけど、一人で廊下に放り出されるなんてことが万が一あるかも────」
「ないと思うわよ?」
まぁ、私達が眠って、由南ちゃんが一人で出ていくことがあるかも‥‥いや、なさそうだね。
「ま、まぁそれでも一応っす。 扉の前に立ったら、なにもしなくても開けてくれるので便利っすよ」
「わかったわ。 じゃあお願い」
そうして、由南ちゃんの携帯にもアイちゃんをダウンロードする。
「そういえば、普通のお客さんはアイちゃんどうするの?」
「一般の人は受付で、AIがダウンロードできるようになってるっすよ。 もちろん私達のより制限凄くかけてるし、チェックアウトして、ホテルを出たら自動的に消えるようになってるっすけどね」
まぁ、そうなるよね。
「でも、いちいちダウンロードするのって面倒じゃない? それにAIを携帯に入れるのを抵抗がある人もいるかもしれないわよ?」
なるほど、便利だけどそういう考えも出来るのか‥‥。
まぁ、従業員の負担を減らせるし、お客も楽しいし、私はいいと思うけどね。
「たぶんそういう人は普通のホテルに泊まるっすよ」
あ~‥‥うん。 その通りだね!




