356 同じような苦労
「奈留さん、どうしたの‥‥って陸さん!?」
しまった、信くんと兄さんを会わせてしまった‥‥いやまぁ兄さんが一方的に敵意を向けているだけなんだけど。
「何でここに? 磨北弟」
それは貴方ですよ、兄さん。
絶対に信くんそう思ってるからね!
「いえ、奈留さんと一緒にお手伝いを」
「私がお願いして、やってもらってるんだ」
別に嘘をつくようなこともないしね。
「そうか、ならいいか。 それより今日はメイド服着ないのか?」
「着ないから! ここに来たら着るとかじゃないからね?」
全くもう、そもそも今日は手伝いに来てるんだから。
「奈留さん、メイド服って?」
あ、信くん、私がメイド服着させられたときいなかったんだっけ?
まぁ、恥ずかしいし、見られなくてよかったよ、うん。
「い、いやなんでもないよ「奈留がここでメイド服を着たことがあってだな。 ほら、ここに写真も」ちょ! 兄さん!?」
何で言っちゃうのさ! 何故か写真持ってるし!
「見せてください♪」
「おう、いいぞ」
しかも、仲良くなってるし! そこは拒否してくださいよ!
「駄目! 駄目ですから! そんな嬉しそうに見せないでください!」
というか、もう帰ってください!
◇◆◇◆◇◆
「はぁ、全くもう。 どうしてこんなことに‥‥」
「もう、こういうことはちゃんとお姉ちゃんに言ってよね、信くん」
兄さんが来てから数分後、何故か祈実さんもカフェに訪れていた。
信くんは話していなかったみたいだし、これは兄さんが呼んだのかな?
「別に手伝うだけだし、きさねぇが来る必要ないじゃん」
「何を言いますか! 私も手伝うよ!」
まぁ人が増えることはありがたいけどね。
祈実さんが無理と思っていたのは、学校があるからってだけだから。
「でもきさねぇ、料理出来ないじゃん」
「何をいうか! カフェには接客という大事な仕事があるでしょ!」
料理出来ないのは否定しないんですね、祈実さん‥‥。
でも、前世が祈実さんである信くんに言われる、今世の祈実さんって何だか変な感じだね。
‥‥まぁ、私と兄さんも同じですけどね。
「いや、駄目です、絶対に奈留さんの邪魔しそうだし」
邪魔なんてそんなことはないと思うけど‥‥。
「そんな~。 ‥‥あ、もしかして奈留ちゃんと二人になりたいだけだったり‥‥」
私だったらともかくもして、信くんだから、そんなことないと‥‥。
「‥‥‥え!?」
え、何の驚き!?
「‥‥あ! いや冗談だよ、冗談! あはは‥‥。 よし、じゃあ、全力で応援に徹するよ!」
「とかいいつつ、カメラ持つのやめてね、きさねぇ! ていうかカメラどこから出してきた!」
うん、何だか似たようなのがあったような気がする、この会話も行動も‥‥。




