353 無理はしないように
改めて、考えてみると信くんが家に来ると、兄さんがまた色々というんじゃないかなぁと思ったが、兄さんの学校に行く時間が今日は早かったので、特に何か言われるわけでもなく、私は出かける準備をしていた。
まぁ、兄さんに言っても、ムスッとするくらいだから別に大丈夫なのだが‥‥。
『奈留さん! 信くんが来たですよ♪』
「ありがとうアイちゃん。 じゃあ、行ってくる」
『いってらっしゃいです~』
アイちゃんといつものやり取りをしつつ、私は玄関を開くと、信くんが笑顔で待っていた。
あー‥‥笑顔の信くん、やっぱり好きだなぁ‥‥って、見とれてる場合じゃない!
「お、おはよう信くん。 ごめんね、私から誘っておいて、来てもらっちゃって」
「おはよう。 僕から言ったんだから、奈留さんが気にやむことないよ? それより今日はカフェを手伝うんだよね? いいよって言っておいてなんだけど、戦力になれるかどうか‥‥」
一応、蓮佳さんが教えてくれるはずだし、信くんならこなしてしまえそうな気がするけど、やっぱり何もわからないと不安だもんね。
「えっとね────」
ここはきちんと説明しないとね。
私は由南ちゃんがしていた仕事内容を思い出しつつ、信くんに話しながら、カフェに向かうことにした。
◇◆◇◆◇◆
「大体わかったよ。 奈留さんの説明わかりやすかったよ、ありがとう」
「そ、そう? それならよかったかな‥‥」
信くんの誉められた‥‥凄く嬉しい‥‥。
出来るだけ言ったつもりだけど、あとは蓮佳さんが教えてくれるだろうし、私は私で昨日と同じかそれ以上に頑張らないと!
「あ、そういえば昨日灘実さんからメールが来ててさ、あまり奈留が無理をしてるようだったら止めてねって言われたんだよね。 だから疲れてなくてもこまめに休憩はとってね」
「由南ちゃんが‥‥う、うん了解‥‥」
まさか、信くんに言っているとは思わなかったので驚きだ。
別に私に直接言っても‥‥いや、他の人に見てもらう方が確実だと思ったんだろうね‥‥。
でも、由南ちゃん、ありがとう!
そうして、カフェに着いた私達は、蓮佳さんに朝の挨拶をしようと思ったのだが‥‥。
「ゆ、夕闇ちゃん、それに彼氏くんも‥‥」
蓮佳さんに会ったのだが、どうしたのだろうか‥‥何だか声が震えているけど‥‥。
「ど、どうしました? 何だか昨日とは違って、声が震えてますけど‥‥」
「あ、あのね‥‥久々に昨日頑張ったせいなのかな? ‥‥全身筋肉痛で死にそうなんだよね‥‥」
「「‥‥‥‥え!?」」
まさかの本気の出しすぎで、体が筋肉痛!?




