348 大忙し
「蓮佳さん、注文入りました!」
手伝うことになった私達、私は主に接客や飲み物担当で、由南ちゃんは裏方仕事を手伝っている。
私は職業体験の時に色々と教えてもらっていたから、出来てるけど、由南ちゃんは特にそんなのなかったのに、余裕がありそうで凄いね‥‥。
「了解! いや~、本当に手伝ってもらってよかったよ。 こんなお客さんの量は流石に一人じゃ、厳しかったよ」
「蓮佳さん、手を動かしてください。 本当によくこんなのでお店回ってましたね。 隆さんがほとんどやってたってことなんでしょうが」
由南ちゃん、年上でも関係なく言うのね!?
もうちょっとオブラートに包んであげてほしいな?
いや、手伝ってるからっていうのもあるのかもしれないが‥‥。
「隆は何でもできるからね! 何だか任せちゃうっていうか‥‥まぁ今日も灘実ちゃんが作るの本当に上手いから、全部任せちゃっても大丈夫だしね!」
そんな、会社の上司が部下に仕事を丸投げするみたいに‥‥いや、まさにそれだね!
そういうのは、駄目ですよ蓮佳さん!
「そうなった場合、私は奈留を連れて帰ります」
「‥‥えぇ!? 私も!」
由南ちゃんが自分だけ帰りますって言うのかと思ったら、私もなのね。
でも、一人でも欠けたら今日乗り切れないんじゃないかなと。
昨日と変わらずに人は多いし。
「わー! ごめんごめん! いなくならないでー!」
「本当にこれで、よく一人で営業しようって思いましたね‥‥」
まぁ、確かに出来ないことはないかもしれないが、一人だと大分厳しいのは確かだ。
たぶん一人でやれば、お客さんを待たせることになるんじゃないかなぁと。
「あはは‥‥でも、一人でもやらないといけないときっていうのはあるものなんだよ。 やっぱり接客業についたからには、何の予告もなく休むっていうのは駄目だと思うからね」
確かに、常連さんとかが、なにも知らずに来てしまっていたら悲しいもんね。
でも、許してくれそうな気もするけど‥‥。
「こういうときなんだからいいと思いますけど‥‥。 でもそれなら、もっと人を増やせばいいんじゃないですか?」
「あー、バイトね。 でもこういう緊急時はダメだけど、普通ならいいぐらいの人数なんだよね。 あ、でも二人ならいつでも大歓迎だよ?」
「私、高校生になって落ち着いたら、働いてみようかな‥‥」
人生経験になっていいかもしれないし‥‥。
「それより、今は早く接客してこないとまずいわよ」
「あ、本当だ! 行ってくる!」
少し話をしていただけだと思ったが、思った以上に経っていたようだ。
しかし、この人数は中々大変そうだなぁ‥‥。