346 手伝いのお願い
「それで、のこのこ帰ってきたというわけね‥‥奈留ってなんなの、本当にバカなの?」
後日、由南ちゃんにデートのことについて話すと最後にはそんなことを言われてしまった。
「そこまでいわなくても‥‥まぁ、作者を見つけられなかったのは仕方がないというか‥‥」
「そっちじゃないわよ! なんで、テンション低くなった状態で解散ってことになるのよ! 次会いたいって思わせるような別れ方をしなきゃ! 当分学校で会えるわけでもないんだし。 そんなんだとすぐに違う意味のお別れになっちゃうわよ」
‥‥由南ちゃんに言われると‥‥‥‥うん、やってしまった!!
「どどどうしよう!」
このままじゃ、別れようって言われるんじゃ‥‥。
「‥‥とまぁ、脅しみたいなことを言ったけど、磨北くんの場合、それはないとは思うけどね。 ただ、そういう気持ちでいないとすぐに駄目になるわよって言いたかっただけよ。 慣れてきた頃に嫌な部分が見えてくるものなんだから」
「嫌な部分なんて見えないけど‥‥」
「それは奈留が全く慣れてないからよ! 奈留は一体いつ落ち着くのよ」
「落ち着いてるつもりだよ!?」
そりゃまだ触れたりするのは緊張したりして無理だけど‥‥。
「自覚もなしと‥‥まぁ、奈留なら仕方ないか‥‥」
「由南ちゃんの中の私って一体‥‥」
「まぁ、いいわ。 それで、何で今日私を呼んだの?」
そうなのだ。 今日は私の方から由南ちゃんを誘ったのだ。
昨日のことがあり、ちょっと思ったことがあって‥‥。
「よく行っているカフェ‥‥あの職業体験したところの、マスター大変そうだから突撃で手伝えないかなって。 優しくしてもらっているから‥‥何だが少しでも役にたちたくて」
「もう、奈留。 私達素人なのよ。 きっと邪魔になるだけよ」
確かにそうなんだろうけど、でも、洗い物とかそういうことなら出来るし、よくしてもらっている分、それを仇で返すことはしたくない。
「でも‥‥」
「そもそも、それなら奈留一人で行きそうなものだけど、何で私?」
「いや、由南ちゃんお菓子作りうまいから、手伝っても邪魔にならないかなぁって‥‥ねぇ、由南ちゃん、お願い! 行くだけでもいいから」
由南ちゃんのスイーツは凄く美味しいし、絶対にマスターと蓮佳さんの助けになると思うんだよね。
私じゃその辺りは由南ちゃんほどうまくはないから‥‥。
「私だって素人なんだから‥‥‥‥でも、奈留がそこまで言うんだから、行くだけなら行ってもいいわよ?」
「ホント!?」
やっぱり由南ちゃんは、最高の親友だよ!
こんな我が儘聞いてもらうんだから、今度絶対にお返ししないとね。