340 信くんとカフェで
待っててと言われたので待っていたら、蓮佳さんじゃなくてマスターが出てきた。
うわ~凄く疲れてそう‥‥。
「夕闇か。 これでも飲んでゆっくりしていってくれ」
「こんにちはマスター。 ありがとうございます。 ‥‥なんか、疲れてますね、大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だ。 俺の勘がそう言ってる」
自分の体のことなのに、勘って‥‥やっぱりかなり疲れてるんじゃ‥‥。
「私、手伝えることがあれば、手伝いますよ」
「じゃあ、蓮佳の相手をしてやってくれ。 あいつ、夕闇が来ると嬉しいみたいだからな」
やっぱり、蓮佳さんの為なんですね~。
本当に良い関係ですよね。 憧れてしまうなぁ‥‥。
「はい、了解です」
「それより、今、蓮佳が作ってる、どでかいケーキ頼んだの夕闇か?」
「え、頼んでませ‥‥いや、待っててとは言われましたが‥‥」
え? まさか、私に作ってるの!?
「‥‥たぶんそれだな。 まぁ、全部食えなくてもいいから、食ってやってくれ」
「出来るだけ食べます!」
甘いものはそんなに沢山は食べられないけど、蓮佳さんのご厚意を無下にするわけにはいかないもんね。
でも蓮佳さん、他にもやることありましたよね?
あと、マスターちょっとフラフラしてますけど、本当に大丈夫ですか?
◇◆◇◆◇◆
「奈留さん」
テーブルで待っていると、後ろから聞き覚えのある‥‥ううん、私の好きな人の声が聞こえてきた。
「あ、信くん」
中学二年に、付き合い始めてから、相変わらず格好いいままで‥‥いや、更に増していて、私は毎日ドキドキですよ‥‥。
「待たせちゃってごめんね」
「ううん、そんなに待ってないから大丈夫。 信くんはちょっと汗かいてる?」
「走ってきたからね」
息を切らしているわけではないが、急いで来てくれたのがわかる。
「ちょっと、止まって」
「え?」
私は持っていたハンカチで、信くんの額の汗をとる。
‥‥なんだか、照れくさいな。
「うん、これで大丈夫」
「ありがと、奈留さん」
はぁ、凄く信くんの顔が近くてドキドキしたよ‥‥。
でも、彼女なんだからそろそろ慣れないといけないんだけどね‥‥やっぱりいつまで経っても変わらないね‥‥。
「そういえば、信くんって、ここのマスターと蓮佳さんには会ったことあったっけ?」
「うん、優しい人たちだよね。 あぁいう大人になれたらいいなぁって思っちゃう二人だよね」
「確かに」
マスターは言わずもがなだし、蓮佳さんは寝坊とか、そういうところもあるけど、優しいし、理想的な大人だよね。
私もあんな風に、ずっと笑顔でいれるような大人になりたいなぁ。