338 卒業式後の家では‥‥
「ただいま~。 兄さんは帰ってる?」
『まだ学校ですです♪』
「あ、そっか、私が早かったからね。 ありがと、アイちゃん」
帰ってきた私を出迎えてくれたのは、中学二年に蕾ちゃんが作っていた、アイちゃんだ。
なんで、家にいるのかというと、前に話していた分裂が出来るようになったので、蕾ちゃんが厚意で、私と由南ちゃんに一度貸し出してみるということになったのだ。
まぁ、そこからずっと家にアイちゃんがいるといった感じになっている。
その時に初めてアイちゃんを見た兄さんは凄く驚いた感じだったが、今ではすっかり慣れている。
『どういたしましてです。 そういえば、お兄さんが奈留さんの卒業式に出られなかったことをとても悲しんでおられましたですよ』
「兄さんも学校なんだから、しょうがないのにね‥‥。 まぁ、その気持ちだけで嬉しいけどね。 よし! 兄さんの為に何か美味しい物でも作ろう!」
それで、機嫌も直していただこう。
『あれ? 信さんとのお出かけはいいんです?』
「あぁ、うん。 もう少しかかるそうだから、今のうちにやってしまおうと思ってね」
『そうなんですか! じゃあ手早く取りかかりましょう!』
ゆっくりやっても問題ないけどね‥‥‥‥まぁ頑張ろっと。
◇◆◇◆◇◆
「奈留、本当にごめんなぁ~‥‥。 俺は兄失格だ‥‥」
「もう兄さん! だからいいっていってるじゃないですか。 別に私の卒業式なんて」
「何を言っている! 学校ごときの為に奈留の卒業式に行けなかっただなんて屈辱だ‥‥。 だが、奈留が学校に行けっていうから‥‥」
「朝起きたら、ビデオを撮っていたときは本当に驚いたんですからね! 本当に言わないと絶対に来ると思ってたので、駄目っていっておいて本当によかったですよ‥‥」
「折角、一日中、奈留の記念の日を撮ろうとしていたのに、残念だ。 まぁ学校の方はきっちり撮ってもらったがな!」
兄さんの学校が休みだったとしても、一日中は流石にキツイ‥‥って撮ったっていった!?
「撮ってもらったって、誰に!?」
「初めは詩唖先生にお願いしようとも思ったんだが、流石に申し訳ないと思って、後輩に頼んだ」
兄さん、サッカー部だったもんね。
‥‥‥‥あれ? でも兄さんが三年の時に私が一年だったから、卒業生は被っているけど、在校生は兄さんのこと知らないよね?
「えっと‥‥サッカー部の?」
「そうそう」
「‥‥まさか、卒業生の人にずっとカメラ持たせてた訳じゃないよね?」
「それはないぞ。 なんか俺のこと普通に知っているみたいで、一年か、二年かわからないが了承してくれたんだ」
まぁ、小学校が同じだったとかもあるもんね。
それに兄さん結構目立つし‥‥。
現在、熱がありまして、もしかすると明日、投稿をお休みするかもしれません。
読んでくださっている皆様、本当に申し訳ありません‥‥。