336 今度こそ!
教室にずっといるわけにはいかないので、蕾ちゃんの様子も見るために、私は蕾ちゃんの教室に来ていた。
すると、ドア越しに、机を弄っている蕾ちゃんが見える。
‥‥あんなに机って金属の塊だったかな?
何だか凄いことになってる‥‥。
「蕾ちゃん」
蕾ちゃんに、声をかけると、蕾ちゃんはすぐに顔がこちらの方を向いた。
この一年と少しで、蕾ちゃんも色々と変わって‥‥‥‥ないね!
何だか蕾ちゃんは蕾ちゃんのままだね。
花さんという未来の姿の人がいるから、花さんを見ると、最終的に身長とかも伸びるんだろうけど、今現在は特に友達になったときと変わっていない。
まぁ、私達もそこまで変わってはないから、一年だとこんなものかのかなと思っている。
「あ、奈留ちゃん。 由南ちゃんも一緒にどうしたっすか?」
「いや、一緒に帰ろうと思ってね」
「ホントっすか!? てっきり奈留ちゃんは彼氏さんと帰ると思ってたっすから驚きっす! ちょっと待っててくださいっす!」
なんか、蕾ちゃんも私が信くんと帰ると思われていたみたいで‥‥まぁ、確かに最近は信くんと帰ったりもしてるからね。
「そんなにすぐ終わるの?」
「はいっす! 床の方に埋め込んでいた方は取り外し完了してるので、もう机だけなんで、すぐっすね!」
何処の業者さんなのかな、蕾ちゃん‥‥。
でも、本当にこんなに弄っていてよく先生なにも言わなかったよね。
やっぱり蕾ちゃんに、言えるのは詩唖先生しかいないのかもね。
そりゃ、詩唖先生大変だわ。
「でも、三年間もいた場所を、もう来ないっていうのは何だか不思議な感じがするわね」
「確かにね」
中学校を卒業するのは二回目ではあるけれど、一回目はそれほど思い出があったわけじゃないし、なにも感じなかったけど、今は何だか寂しい気持ちがある。
「私は嬉しいっすけどね! ようやく二人と同じクラスになるチャンスが‥‥。 あと‥‥ひーくんとも一緒になれるし‥‥」
蕾ちゃんは嬉しそうだね。
まぁ、広葉と同じ高校に行くことになったしね。
ちなみに、私と由南ちゃんも同じ高校で、兄さんたちがいるところだ。
まぁ、家から近いからっていう理由もあるが、兄さんたちがいるからっていうのが主な理由だ。
でも蕾ちゃんだったら、国内有数のみたいな高校に行くんじゃないかなぁなんて思ったりもしていたが、結局は同じところだった。
選んだ理由を聞くと、何処に行っても同じだから、友達が行くところにしたのだそう‥‥。
‥‥うん、やっぱり、レベルが違うよね!
「まぁ、三年間の内の一年しか被らないけどね。 森田さんが留年しない限りだけど」
「あ‥‥それ、ありっすね!」
ないよ! ないからね!




