335 卒業
二章、スタートです!
そんなに長くはありませんが‥‥。
「あの時は本当に色んなことがあったなぁ‥‥」
私は中学二年の出来事を思い出していた。
信くんと恋人になった、あの後、由南ちゃんたちにお祝いされたっけ‥‥。
報告したときは由南ちゃんや蕾ちゃんも凄く驚いた顔をしていたが、そのあとすぐにおめでとうって言ってくれた。
兄さんにも言ったけど、兄さんは凄く納得していないような感じだったけどね。
信くんと付き合い始めて、初めてのデートとかも楽しかったけど大変だったなぁ‥‥。
緊張して全然喋れないし、色々とダメダメだった‥‥あと由南ちゃんとかが尾行していたこととか、凄く驚いた。
まぁ、私も過去に同じことをしているから、尾行は駄目なんて言えないけど‥‥けど恥ずかしかった。
そのあとも色んなことがあったけど‥‥でも信くんとの関係は付き合う前とそれほど変わっていない。
変わった部分はもちろんあるんだろうけど、今でも緊張するし、照れちゃうしで、特別な進展があるわけでもなく、でも今の関係が心地の良いので、そこにおさまっているという感じだ。
付き合って一年と少ししか経っていないが、私は今日、一つの大きな区切りを迎えようとしていた。
今日は中学校最後の日なのだから‥‥。
◇◆◇◆◇◆
「一人で教室にいるなんて、何してるの、奈留‥‥?」
「あ、由南ちゃん‥‥いや、色んなことがあったから、思い出してたんだよね」
本当に中学二年生にはいろんな事があったからね‥‥。
まぁ、楽しいことばかりしか思い出せないけど。
「ふ~ん‥‥磨北くんとは一緒にいなくていいの?」
「信くん、たぶん今頃、友達と写真とか撮ってるんじゃないかなぁ‥‥信くん友達多いから」
元から多かったのだが、前世から帰ってきてから余計に多くなった。
まぁ、自分を変えたいって言っていたが、それで元から高いコミュニケーション能力に愛嬌が追加されたことで、回りの人ともっと仲良くなるという結果を生んでいるのかもしれない。
「寂しい?」
「そんなことはないかな。 羨ましいのは羨ましいけど‥‥」
私の友人人数は結局あれから変わらないし!
‥‥いや、数じゃない、質が大事なんだよ、うん‥‥。
「まぁ、寂しくないならいいわ。 まぁ、明日から休みだし、後でデートの約束でもしておきなさいね」
「デートって言われると意識しちゃうから、お出かけって言って~!」
「もう付き合って結構経つでしょ、いつまで初々しいのよ、奈留は」
そんなこと言ったって、慣れないものは慣れないんだから仕方がないじゃないか。
「逆に付き合ったことで、意識しちゃうんだよ‥‥。 それより由南ちゃん一人? 蕾ちゃんは?」
結局蕾ちゃんとは三年生になっても同じクラスにはなれなかったなぁ‥‥。
三年の始業式の時、凄く落ち込んでいた時のことを今でも思い出せるよ。
ちなみに由南ちゃんと信くんは同じクラスだったので、実質二年生とあまり変わらなかった。
「蕾なら、今頃改造した教室を直しているわよ」
‥‥ん? 今よくわからない言葉が聞こえてきたな‥‥。
「由南ちゃん、今改造って言った?」
「えぇ、言ったわね。 なんか三年の春に私達とクラスメイトになれなかった腹いせに教室を改造してやるって、言って色々とやってたわよね?」
「そんなことしてたの!? 私知らないよ」
「そうなの? 机にあのAIのアイちゃんが喋ったり色々できるように取り付けたり、自分のところだけ温度調節を出来るようにしたり、まぁ別に怒ってなくてもしそうだけど‥‥」
「じゃあ、それを今取り外し中?」
「そういうこと。 だからもう少しかかるみたいよ。 少し待ってよっか?」
「そうだね」
中学校最後だし、一緒に帰りたいよね。