332 三人並んで‥‥‥‥
緊張して何も話せないまま、間に祈実さんを挟んで並んで歩いている、私と信くん。
信くんに話したいことは沢山あるし、頑張りたいとも思った‥‥だけど、こんなに、いきなりはハードルが高い!
しかも、祈実さんの前でなんてもっと言えるわけがない!
「‥‥え? なんで私二人の間なの!? しかも、いつの間に‥‥」
いやでもここは祈実さんに間に入っていただかないと、私の身がもたないわけで‥‥。
「こうやって並んでると、三人兄弟みたいですね」
ここは全力で誘導するしかないね!
「あ、そっか! お姉ちゃんだから真ん中なんだね! じゃあ、二人とも私の手を繋いで~」
「なんでそうなるのさ、というか、きさねぇ買い物は終わったの?」
「うん、バッチリ! でも、余ったお金はすべて無くなったけどね!」
「なんで!?」
まぁ、信くんからしたら本当に訳がわからないだろうね‥‥。
というか、全部注ぎ込んだんですね。
「UFOキャッチャーで注ぎ込んじゃって‥‥」
「何してるんですか‥‥はぁ、まぁ一つとれたならいいですけど」
「あ、これ? これ奈留ちゃんに貰ったんだ~。 私はとれなかったけど、奈留ちゃんがとってくれたんだよ♪」
あはは、そこまで喜んでいただけると、私もあげた甲斐があるというものですが、私も偶然取れただけなので、そんなに私がとってくれたって言われると‥‥。
「へぇ、奈留さんが‥‥」
「‥‥あ、信くんでもあげないからね?」
「とったりしないよ。 ‥‥ちょっと羨ましくはあるけど‥‥。 それにしても、きさねぇゲームセンターってそんなに好きだったっけ? 記憶が正しければ誘われたら行く程度だったと思うけど‥‥」
「奈留ちゃんと行ってみたかったからね~。 でも、それでよく私を見つけたよね。 さすが信くんだね!」
「きさねぇは目立つからね。 それで、これからどうするの? きさねぇ、他に買うものとかあるなら、まだ回るけど」
祈実さんはもう買い物終わったって行っていたし、信くんは見つかったし、もう解散なのかな‥‥。
もう少し信くんと祈実さんと一緒にいたかったけど、用事があるかも知れないしね。
「買い物は終わったし、夕方だし、私は楽しんだからそろそろ帰ろうかなと思ってるんだけど‥‥けど、信くんはまだやることがあるんだよね?」
‥‥やること?
「あ‥‥‥‥うん。 ありがとう、きさねぇ。 帰ったらちゃんとお礼するから」
「なんのお礼かよくわからないなぁ~? それじゃあ、奈留さん、私はちょっとやることがあるから帰るけど、信くんともう少し一緒にいてあげてね」
「え!? あ、はい‥‥」
急に二人きりになっちゃうけど、でもずっと話したいって思ってたんだから、これはチャンスだよね。
でも、祈実さんいたときと違って、逃げ道がないから、緊張するな‥‥。




