329 偶然ばったり
信くんが帰ってきたという、広葉のメールから一夜明け、私は買い物に出ていた。
昨日、夕御飯を作った時に、あまりこったものを作れなかったので、少しだけ後悔をしていた。
なので、今度はいつでも作れるように、少しだけ多めに買っておこうと思い、家事を一通り終わらせたあとだったので、お昼を大分過ぎていたが、外に買い物に来ていた。
昨日、広葉に言われたように、信くんに連絡をしようかと思ったのだが、帰ってきて疲れているかもしれないので、連絡は出来なかった。
‥‥‥‥いや、恥ずかしかったのと、勇気が出なかった、自分自身への、ただの言い訳かもね。
でも、明日も休みだから、明日こそは頑張らないと‥‥!
あ、早く買い物しないとね‥‥なに買おうかな‥‥。
そういえば、食べ物じゃないけど、由南ちゃんがガスバーナー推してたな‥‥楽しそうだし、私も買ってみようかな?
‥‥いやいや、さすがにブリュレを作るためだけにガスバーナーを買うわけにはいかないし‥‥。
でも、少しだけ見るくらいなら‥‥。
「あれ、奈留ちゃん?」
ん? 今私の名前が呼ばれたような‥‥。
名前の呼ばれた方を向いてみるとそこには───。
「祈実さん!?」
何故、祈実さんがここに‥‥。
いや、なにかを買い物に来たんだろうけど、一人できたんだろうか‥‥?
何だか久々に祈実さんに会ったからか、より一層綺麗に見えて、また緊張しそうだよ‥‥。
「奈留ちゃんも買い物?」
「は、はい‥‥。 祈実さんもですか?」
「うん! 信くんと一緒に来たんだ~!」
‥‥‥‥え!? 信くんと!?
と、ということは近くにいるってこと?
私はすぐに回りを見渡して見るが、信くんらしき人はいない。
「信くんは‥‥?」
「あーうん、はぐれちゃって、あはは‥‥」
あ、だから祈実さんしかいないんだね。
‥‥これはたぶんだけど祈実さんが色んなところにふらっと寄って、いつの間にか信くんとはぐれてたってパターンだね‥‥。
「信くんに携帯で場所を言えばいいんじゃないですか?」
「いや、信くん携帯置いてきてるみたいで‥‥。 普通に忘れちゃったみたいなんだよ」
へぇ、しっかりしてそうな信くんが忘れるなんて珍しそう‥‥。
でも、まぁそのお陰といってはなんだけど、心の準備ができていいんだけど‥‥。
「そうなんですか‥‥。 じゃあ、一緒に探します?」
「え、いいの? じゃあ、一緒に行こ♪ いや~奈留ちゃんとショッピングしてみたかったんだ~。 私達、姉妹に見えるかなぁ?」
「し、姉妹!? いや、それよりも祈実さん、買い物っていうか、信くん探さないと」
「レッツゴー!」
あ、もう買い物をする気満々だ‥‥。
いや、いいんだけど、信くんが探しているかもしれないのにっていう思いがかるんだよね‥‥まぁ、そんなに大きい場所じゃないからすぐ見つかるだろうけど‥‥。