325 便利だね!
アイちゃんに、驚きつつも、いつまでも玄関にいるのも迷惑なので、家に上がらせてもらった。
「アイを作ってから便利になったこと? 結構多いっすよ」
「へぇ、どんなこと?」
「例えばシャワーしているときに、私の気持ちを汲み取ってくれて、ここでお湯を出すとか、温度を少し下げた方が快適かとかっすね。 あと電気も勝手につけてくれますし、寝ようとしたら消してくれますし‥‥。 あ、あと起こしてもらったりとか‥‥発明を手伝ってもらったりとかも最近は───」
凄い色々やってもらってるんだね!
でも、何だろうなぁ‥‥アイちゃんが人間だって思ってしまうからかもしれないけど‥‥。
「「アイちゃん、凄く重労働!」」
「───あれ? そこはてっきり凄く便利だね! って言葉が帰ってくるものだと思ったんっすけど‥‥?」
「確かに凄く便利だと思うわよ。 うん‥‥」
「そうなんだけど、どうしても人間に見えてしまうからか、少し微妙な気持ちになるんだよね‥‥」
別に蕾ちゃんが作ったんだし、特に駄目だとかはないし、全然いいんだけどね。
『私は問題ありませんです~。 蕾様のお世話好きです~!』
「じゃあ、今度からご飯も作ってもらえると───」
「さすがにそれは自分でやりなさいよ。 というか作れないでしょ」
本格的なロボットが必要になってくるよね。 まぁ、蕾ちゃんなら作れそうだけど‥‥。
「それ用の機械を作らないといけなくなるっすからね。 それはまた後回しっすね。 まだアイの改良は終わってないっすからね」
「え、完成じゃないの?」
もう完璧なAIだと思うんだけど‥‥。
「ここから分裂して、携帯とかに違う人格として移動させたりとか、将来的にはしようと思ってるので‥‥中々大変ですが、頑張ってるっす! もし、出来るようになったら奈留ちゃんたちの携帯にも移して、いつでもお話しできるようになるっすよ!」
この家だけではなく、色んなところで話せるっていうのはいいかもしれないね‥‥。
しかも、話しているだけで楽しいしね。
「あ、そういえば、AIを作るってなったときに仕事だって言ってなかったっけ? あれは終わったの?」
「いえいえ、分裂に成功して、そのあと貸すことになるっすね」
へぇ、ということはAIが沢山必要な依頼ってことなのかな?
「蕾、それ怪しい仕事とかじゃないわよね?」
「確か、ホテルの客室にAIを導入するって話だったと思うっすから、怪しくはないと思うっすよ」
ホテルだったのか! 確かにさっきまでの話を聞いていると、便利そうだよね。
「まぁ、危なくないならいいんだけど」
「アイは私にとっては妹みたいなものですし、危ないところにはいかせませんよ。 まぁ、それにアイを悪いことに利用しようとしたら、無理矢理返してもらって、そのあと逆に利用してやるっすよ、フッフッフ‥‥」
何だか蕾ちゃんが言うと、本当にそうしそうだから‥‥怖いね!!




