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31 それぞれの告白

「ごめんなさい。 私、森田さんとは付き合えないです」


 一週間後、学校終わりに広葉と会う約束をした。

 そして、放課後私は覚悟を決めて、広葉に正直に話すことにした。

 自分のことを‥‥。

 広葉には、本当のことを言いたくなった。


「そっか‥‥理由を聞いてもいい?」


「森田さんは、好きですよ。 だけど恋人じゃなくて、友達としてだと思うから。 ‥‥あと、それとは別に聞いて欲しいことがあるんです」


 いざ言おうと思うと、何だか急に不安が襲ってくる。

 十三年も胸にしまい続けたことを言おうと言うんだから当然なのかもしれないが。


「何かな?」


「‥‥‥‥‥‥信じてもらえないかもしれないけど、私、生まれ変わりなんです。 それも、元男で‥‥」


「知ってる」







 ‥‥え?


「今‥なんて‥‥」


「知ってるよ。 陸‥なんだろ?」


 私、まだ名前は言ってないのに‥‥。


「‥‥どう‥‥して」


 誰にも話したことはないし、気付くなんて、なおあり得ない。


「俺も半信半疑だったんだ。 とある人に話を聞かされて正直、よくわからなかったんだが。 ‥‥君の言葉でそれが真実なんだなとわかったよ」


 とある人って‥‥いや、今はそんなことより!


「‥‥じゃあなんで告白したんだよ!? 私が陸かもしれないってわかってたんですよね?」


「初恋だったから‥‥じゃダメかな? 小さい頃から好きだったんだ。 そんな話を聞かされたからって諦められるわけなかったよ。 まぁこれでも結構悩んで出した結論なんだけど」


 そんなこと言われたらなにも言えなくなってしまうではないか。

 広葉は笑っていたが、私には何だか辛そうに見えた。


「ごめん、広葉。 今まで黙ってて」


「いいよ陸。 お前はお前なりに理由があったんだろ? それにしても奈留ちゃんの姿で、陸のしゃべり方はなんか違和感があるな」


 今それいうのか。


「うるせぇ。 そういえば、俺の話をした人って誰だったんだ?」


「すまないがそれは言えない。 言うなって言われてるからな」


「なんだよそれ‥‥」


 なんかたくらんでそうで怖いな。


  「まぁいいじゃん。 よし、これからはまた友達としてよろしくな、陸‥‥じゃなかった奈留ちゃん!」


「なんか釈然としないけど。 よろしく森田さん」


 広葉が背中を向けて帰っていこうとしていたので、そして私は帰ろうとしたら、広葉が、こっちを向き大声で言った。


「あと俺まだ諦めてないから!」


「え?」


「元男なんて、関係ない! 俺にとってはずっと女の子だったし。 絶対お前を好きにしてみせるからな!」


 その前向きさには尊敬するよ。

 さすがは俺の親友だよ。

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