320 違うクラスの会話に‥‥
教室を出て、すぐさま美術の先生に会いに行き、謝罪をしたら凄い驚かれました。
うん、まぁ授業を聞いてなかったから謝るなんて生徒絶対いないだろうけど‥‥でも、美術は好きで、嫌われたくはないのでなにも言わないよりはいいだろう。
その後、先生の好きな画家さんの話や、詩唖先生はどんな印象かとかそういうことを話し、区切りがいいところで、私は教室に戻ることにした。
「詩唖先生が意外に好印象だったことに驚いたなぁ‥‥」
先生同士ではちゃんとしているのかもしれないな。
でも、由南ちゃんに言ったら絶対に嘘だって言いそうだなぁ‥‥。
予想通りになるか、話して聞いてみようかな♪
そう思い、少しうきうきしながら廊下を歩いていると、違うクラスの教室からの会話が、不意に私の耳に入ってきた。
「ねぇ、昨日事故があったって知ってる?」
「え、何処で?」
「あのたまに行く、コンビニの近くの道でだってさ。 危ないよね‥‥」
へぇ、事故があったんだ‥‥知らなかった。
‥‥友達が少ないから情報が入ってこない訳じゃない‥‥とは思うけど‥‥‥‥あ、急にネガティブに‥‥。
友達は量じゃなくて質だと思う! と心の中で、そう自分を慰めつつも、先程とは違い、モヤモヤした気持ちで教室に戻った。
◇◆◇◆◇◆
「謝るだけなのに遅かったわね」
「少し先生の世間話に付き合っていてね。 詩唖先生の話とかしてたんだ」
いや、時間でいえば、画家のフィンセント・ファン・ホッホさんの話の方が多かったけど‥‥。
先生、好きなことを話すとき止まらないからなぁ。
「へぇ、辞めさせるネタを聞いていたということね」
「違うよ!? 普通にどういう印象とか、仲が良いのか聞いただけだよ」
それと、たぶん、そんなネタを探さなくても、問題だらけだしね。
「まぁ、印象としては良いって言ったんでしょうね」
「あれ? なんでわかったの?」
「先生にも嫌われてたら、本当にすぐやめてると思うからよ」
あーなるほど。 確かにそうだね。
まぁ、広葉の方は先生との関係の改善頑張ったんだろうなぁ。
あ、そういえば、廊下で聞いた事故のことって由南ちゃんは知ってるのかな?
「由南ちゃん、話は変わるんだけど、昨日近くで事故があったって知ってる?」
「ん? えぇ、知ってるけど?」
由南ちゃん、知ってたの‥‥‥‥やっぱり私だけ情報が入ってこなかっただけですか‥‥!
「知らないの私だけ‥‥‥‥」
「いいニュースじゃないんだから、別にいいじゃない。 まぁ教えて欲しいなら言うけど‥‥。 確か、磨北くんの家の近くだったわよね?」
「えぇ!? 本当に?」
「うん、まぁ、車が歩道に乗り上げたそうで、一人軽症らしいけど、死ぬような事故じゃないのは、不幸中の幸いよね」
「危ないね‥‥」
被害者の人が軽症っていうのが、まだ救いだね。
でも、信くんの家の近くってことは、信くんが、ってこともあり得たわけだし、そう思うと、怖いな‥‥。