313 捜索します!
引き続き、磨北信くん視点です。
何だろう、急に事件現場みたいな空気になった訳だけども、そもそも犯人なんているのだろうか‥‥?
蔭道さんには悪いけど、正直、私も何処かに置き忘れたんじゃないかと思っているんだけど‥‥。
「アイ! 部屋の防犯カメラを全て表示させて!」
『あ、初めて蕾がアイって‥‥‥‥これはやる気も出ますね‥‥。 わかりました、表示、展開させます!』
アイちゃんがそう言うと、ホログラムから何もない空中に、映像が映し出された画面が次々に表示されていく。
凄い‥‥スクリーンもないのに、綺麗に映し出されてる‥‥。
でも、こんなにたくさんあったら見つけられないんじゃ‥‥。
「こんなにカメラ少なかったっけ‥‥?」
それでも少ないの? 家にしては多すぎるくらいだと思うけど‥‥。
『確か、カメラを増強の話は、蕾が広葉と一緒に暮らすのに忙しいっていって、先送りにされていたはずです』
「私のせいか! くっ‥‥私の部屋のドアの部分とか私のベッドは見えてるけど、肝心の置いた場所が死角で見えてない‥‥。 アイ、その画面全て私の部屋のに切り替えて。 私が寝てる間だから、朝からの所から一時間ごとに一画面、それを三倍速で」
『了解。 サーモグラフィーはどうします?』
「それはアイの方で違和感があれば教えて」
何だろう‥‥この近未来の犯人探しは‥‥。
‥‥二人とも真剣だし、邪魔しない方がいいよね。
でも、私にもなにか出来ることがあるんじゃ‥‥。
「私は何か、出来ることあります?」
「磨北さん? ‥‥じゃあ、私の部屋を見てきてくれない? もしかしたらってこともあるから。 見た目はアイ経由で送るから。 ごめんね、ありがとう」
「いえいえ。 じゃあ行ってきます」
こうして私はココロマモルくんの中のアイちゃんと一緒に蔭道さんの部屋を探すことになった。
◇◆◇◆◇◆
『う~ん、磨北さん。 無さそうですね』
「うん‥‥置いていた場所もその近くも見たけど‥‥無いね」
まだ、探してから三十分くらいだが、そのくらいの時間があれば大体のところを見ることが出来た。
しかし、物忘レンくんらしい物は全く見つかることはなかった。
『じゃあ、一旦戻りましょうか』
「そうだね‥‥」
私は蔭道さんがどうなっているのか気になっていたので、一度、蔭道さんがいるリビングに戻った。
リビングに戻ると、何だかぐったりした状態の蔭道さんがいた。
「だ、大丈夫ですか?」
「‥‥‥‥あ、磨北さん」
『はぁ、普通に見ても、サーモグラフィーで見ても、何もいませんでしたね‥‥。 やっぱり、部屋にあるんじゃ‥‥』
「でも、私も探しましたけど、それらしきものもなかったですよ」
ここは一応、私のことも伝えた方がいいと思い伝えたんだけど‥‥。
「『‥‥‥‥はぁ‥』」
うん、今じゃなかったかもね‥‥。
でも本当に一体どこに消えたんだろう。