309 朝まで作業
引き続き、磨北信くん視点です。
初日は結果、蔭道さんの作業は終わらなかった。
まぁ、私が一週間はいてくださいと、あの謎の女性に言われたので、全然問題はないのだけれども‥‥。
その後、二日、三日と時間は経っているが、蔭道さんの作業は思ったより難航し、私の方は特に何もなく過ごしていた。
一週間いてくれと言われたから、その間に何かあると思ったんだけど‥‥。
そんなこんなで、前世に来てから、何事もなく六日目の朝を迎えようとしていた。
◇◆◇◆◇◆
「できた────!!」
蔭道さんの部屋の方から、蔭道さんの声が聞こえてきた。
まだ、朝の五時なんだけど‥‥作業していたのかな?
私は、ここにいる間寝泊まりしている、客室から出て、蔭道さんの部屋にいくことにした。
「おはようございます、蔭道さん。 扉、開けますよ?」
そうして、私は蔭道さんの部屋に入ると、ごちゃごちゃした部屋の中心に喜んでいる蔭道さんがいた。
「あ、磨北さん。 遂に出来たわ!」
こんなに笑顔で喜んでいる、蔭道さん、私初めて見たような気がする‥‥。
「蔭道さん、もう朝ですけど‥‥寝てないんですか?」
「あーうん。 思い立ったら即実行だからね」
昨日もほとんど寝てないって、アイちゃんが言ってたような気がするんだけど‥‥。
まぁ、六日間一緒にいて、わかったことだが、蔭道さんはあまり寝なくても大丈夫な人なのかもしれないな。
でも、こんなに喜んでいるってことは、遂にタイムマシンの改良が完了したのかな?
「タイムマシンの改良、終わったんですか?」
「え? いや、それは昨日の朝のうちに私が出来ることは終わってるよ?」
「‥‥‥‥え!? 私、出来てたの知りませんでしたよ‥‥?」
「言ってなかったっけ? ‥‥あ、あのAIに教えてもらったりとかは?」
私も聞かなかったから、いけなかったんだろけど‥‥。
‥‥あ、そういえば、今日起きてから、アイちゃんの声聞いてないな‥‥。
「アイちゃんにも聞いてないですね。 ‥‥あれ? そういえば、今はホログラムつけてないんですね」
「つけてもいいけど、今寝てるんじゃないかな」
‥‥‥‥え!? AIって寝るの!?
つまりはココロマモルの方のアイちゃんも寝てるってこと?
真相を確かめるべく、蔭道さんにお願いしてホログラムをつけてもらう。
すると───
『スピー‥‥スピー‥‥』
ホントに寝てる‥‥。
「AIって寝るんですね‥‥」
「あ、いやこれはタイムマシン関連のことで、アップグレードしてるから、スリーブモードになってるだけなんだけどね」
あ、そういう‥‥。
てっきり、日常的に寝ているのかと思ったよ‥‥。
蔭道さんの話では、起こそうと思えば起こせるそうだが、私はそっとしておくことにした。