301 AIとお散歩
引き続き、磨北信くん視点です。
誰もいない道をアイちゃんと話ながら、ふらふらと目的地もなく歩いている。
その間にもアイちゃんとは色んな事を話でいるが、もうAIではなくもう私は一人の女の子と話しているような感じになっていた。
『でも、磨北さん。 自分を変えたいってことは、何かをしにここに来たってことなんですか?』
「何かをしに‥‥‥‥まぁ、そうだね。 行きたい場所っていうか。 行かないといけない場所があって‥‥。 この世界で残してしまった後悔っていうのかな‥‥。 それを見つめ直さないと、自分が好きな人と付き合うなんて出来ないんじゃないかと思ってね」
『なんだか壮大ですね‥‥。 でも、好きな人と付き合うのにそんなに自分を追い込まないといけないんですか? なんだか大変ですね、恋っていうのは』
「いや、普通はここまでじゃないよ。 これは僕の我が儘だから。 ‥‥僕の好きな人は心の真っ白な人でね。 だから、少しでも自分が駄目だと思う部分をなくしてからじゃないと、好きな人には釣り合わないと思うんだ」
今の奈留さんはそれくらい、輝いて見えるから。
『いえいえ、磨北さんの心もちゃんと真っ白だと思いますよ。 蕾を知っているから余計にそう思いますね』
「蔭道さんに聞かれたら、また怒られちゃうよ?」
『聞かれてないので大丈夫ですよ』
「確かにそうなんだけど‥‥」
でも蔭道さんって勘が鋭そうだし‥‥。
まぁ、今は作業してるだろうし、さすがにないか。
『話を戻しまして、磨北さんはその場所に行くつもりなんですよね? それなら今から行きませんか?』
「え? うん‥‥出来れば行きたいけど‥‥」
『ん? 行けない理由でも?』
「あまり、自分勝手に行動するのは駄目かなって思って‥‥蔭道さんにも危ないからって言われてたし」
『まぁ、確かにそうですけど、私も付いてますし、こういうのはすぐに行った方がいいと思いますよ』
「う~ん、じゃあ、あと少しフラフラとしつつ、最後にそこに行こっか。 その方が時間を潰せていいぐらいだろうし」
『それもそうですね』
こうして私はその目的地を最終目標として、他の思い出の場所なんかも、回ってみたいと思った。
前世で見ていた時とは、色んな事が違って見えるかもしれないしね。
そうして、ブラブラと歩いているとすぐ近くにお花屋さんがあった。
『どうしたんですか、磨北さん?』
「ちょっとお花買っていってもいいかな?」
『はい、問題はないですけど‥‥何でお花?』
「必要だから‥‥かな? じゃあすぐ買うよ!」
こうして私はお花を片手に、店を出た。
まだ、最終目的地までは離れているが、私はゆっくりとその場所に行くために歩き始めた。