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286 悲しみの先に‥‥‥‥

 どういうことなのだろう。


 私は理解することができない、いや、したくなかった。

 今、広葉こうようは何て言った?


 しんくんが、この世にいない?


 そんな言葉を使うのは、一つしかないというのはわかってる‥‥けど、嫌だ。

 せっかく気持ちを伝えることが出来たんだ。 しんくんだって、好きだって言ってくれた‥‥。


 今日もう一度、付き合ってくださいって、言うはずで‥‥それで恋人同士になって‥‥色んな話をして、色んな場所に行って、沢山思い出を作って‥‥。


 今まで片想いだった時間を超えるような時間を二人で‥‥過ごして‥‥。


 前世がよくなかった分、余計に今世を二人で楽しく生きて‥‥。



 もう、そんな私の新しい夢も、あったかもしれない未来も、全部消えるんだ‥‥。


 しんくん‥‥‥‥。





 涙が出そうになり、私は我慢した。

 泣いて、この最悪な気持ちを流してしまいたい。


 だけど、しんくんが何故そうなったのかを私はちゃんと聞かないといけない。

 辛い思いはしたくないから何も聞かずにいるのは、楽だし、人によってはその方が自分を苦めまなくて済むかもしれない。


 でも、私は前世のしんくんと同じようにちゃんと大切な人のことを知りたい。


 しんくんはこんな思いを二度も経験してるんだ。

 それなら私だって、しんくんのように最後まで聞かないと‥‥。


 でも、どうしても初めの一言目が出てこない。

 ‥‥やっぱり、本当のことを知るのが怖いんだ、私‥‥。



 私がずっと黙っていたからか、広葉こうようの方から私に話しかけてくれた。


「知らせなかったのは、悪かったと思ってる。 お前には真っ先に連絡でもするべきだったと」


「‥‥‥‥いいよ。 私を思って、言わなかったんでしょ?」


 そんなことを知らされて、私がパニックにならないわけないもんね‥‥。

 広葉こうようはそこのところを私に気を使って言わないでおいたのだろう。


「言ったら、お前も‥‥後を追ってしまいそうな気がしたんだ」


「それはしないよ! いくら辛いからって‥‥」


 私が死んでも、しんくんは喜ぶはずないってわかってるから。

 前世で一度死んで、私はどれだけまわりの人が私を思っていたのか知った。

 もう私はまわりの人にそんな思いをしてほしくない。


「そうか。 まぁ、確かにお前嫌いだったもんな」


 ‥‥‥‥嫌いって、どういうこと?

 まさか、広葉こうよう、私がしんくんのこと嫌いだったって言ってるの?


「嫌いじゃない! 嫌いなわけない!」


「そ、そうか? まぁ確かに良いところも悪いところもあったかもだけどな‥‥」


「悪いところなんてないよ! 全部が好きなんだから!」


「はぁ!? マジで言ってんのか!?」


「大真面目だよ! 私はしんくんのことが大好きなんだよ!」


 広葉こうようがなんでそんなこと言うのか全然わからないよ。

 私が広葉こうように対して、不満を抱いていると同時に、広葉こうようは何故か、よく分からないと言いたげな顔をしていた。


りくは何の話をしてるんだ?」


「だから! しんくんの話だよ!」


 さっきからずっとそうじゃないか!


「いや、俺、今は、ずっと前世のことを言ってたつもりなんだが‥‥?」


 ‥‥‥‥はぁ!?

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