27 ジェットコースター
次に向かったアトラクションは小乃羽ちゃん待望のジェットコースター。
この遊園地では一番大きいのではないだろうかというほど、長いレールと高さを誇っている。
凄まじい角度で落ちているところや、急カーブなど、とても人間の乗る乗り物とは思えないね!
何あれ、もうほとんど直角じゃないですか!
まぁお化け屋敷ほど怖くはないが、何回も乗りたくはないかな。
でも始め怖くても段々慣れてくることがよくあるので、正直よくわかりません!
皆、落ちる所で悲鳴をあげたり、なんか聞いてるだけで緊張するんですが‥‥。
で、でも私は絶対悲鳴なんてあげたりしないんだから、か、勘違いしないでよね!
こんなことを思うぐらい、余裕はあると思ってもらっていいだろう。
「高いね」
「高いな」
私も兄さんもそんな言葉しかでないくらい、圧倒されていた。
「御姉様、このジェットコースターは結構有名で、とても面白いそうですよ」
その面白いは誰の言葉なんですかね。
ジェットコースターマニアの間で、という意味じゃないよね?
面白い=怖い、とかだとお姉さん泣いちゃうよ?
「もし怖かったら俺に抱きついてもいいんだよ♪」
「いえ、安全バーに抱きつくんで大丈夫です」
どうやったらジェットコースターでしがみつけるというのだろうか。
逆に怖い!
「安全バーに負けた‥‥」
負けたってなんだよ。
「やっぱり人気があるのか並んでるな」
ジェットコースターはお化け屋敷同様とても混んでいた。
もう一生コーヒーカップでいいのではないだろうか。
なんかすぐ乗れたしコーヒーカップ。
「でも兄さん、一回に結構乗っているから、すぐ回ってくるんじゃないかな?」
「それでも三十分は掛かるんじゃないですかね♪」
でもそんな時間は物ともしないというほど、ワクワクしている小乃羽ちゃん。
本当に絶叫系が好きなんだね。
そして約三十分の時間を経てようやく順番が回ってきた。
一列二人ずつで座っていくようで、私の隣はもちろん小乃羽ちゃんです。
「ねぇねぇ、小乃羽ちゃん。 やっぱり安全バーが降りると何だかドキドキしてくるね」
「そうですね。 御姉様、もし怖くなるようでしたら手を繋ぎましょうか?」
「是非お願いします!」
とても頼りになりそうだし。
何だか立場的にはおかしいが、小乃羽ちゃん大人っぽいし私は気にしない。
そして、後ろの列には兄さんと広葉が。
「ねぇねぇ、陸さん。 何で俺の隣には女子がいないんだろう」
「日頃の行いじゃね?」
「酷い!」
何時もの調子で発進を待っていた。
ようやく動き出したのだか、はじめはゆっくり進んで登っていくようで、何だか余計に緊張するんだけど!
自然と小乃羽ちゃんの握る手に力が入る。
そしてついに頂上まできて、あのほぼ直角に見えるような坂を下っていく!
「キャ─────!! 速い─────!!」
「わぁー、速いですねー♪」
何でそんな余裕なの!?
是非とも乗り終わった後に、こんな状況でも落ち着く理由を聞こうと心に決めながら、残りの山なりを気合いで耐え抜いた。
◆◇◆◇◆◇
「楽しかったですね♪」
「そ、そうだね‥‥」
私はまだ怖くて、小乃羽ちゃんの手を離さないでいた。
まさか最後にあんなことになるなんて‥‥。
あれは普通のジェットコースターが乗れる人でも、キツいんじゃないかな。
「‥‥もう乗りたくはないかな」
「あぁそうだな。 福林さんはどう? もう一度乗りたいとかある?」
「いえ、一度で満足しましたし、大丈夫です♪」
「じゃあ少し休憩を挟もうよ、結構キツイ」
そして私達は少しふらつきながら、椅子のある方へと歩き出した。