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281 照れる‥‥

 しんくんに言われ、まず初めに感じた気持ちは、やはり嬉しさだった。

 しんくんも私と同じだったんだって、そう思えることが本当に嬉しい。


 でも、どうしても不安になる。

 今まで恋愛なんてしたことがないので、これが本当のことなのかとか‥‥。

 あとは迷ってるって言ったこと。

 もしかしたら、私が言わなかったら言わなかった可能性があったってことなのかもしれない。


「ほ、本当に? でも迷うってどうして‥‥」


 しんくんにそういうと、しんくんは少し困った表情で、少し間が空いて、そのあと口を開いた。


「‥‥本当に僕が奈留なるさんにそんなこと言っていいのかと思って。 自分自身何も、過去から成長していないような気がして、そんな僕が告白なんて本当にしてもいいのか、そんな風に考えちゃって。 それなら自分の気持ちなんて最後まで伝えずにいた方がいいと思ったんだ」


 そんな風に思っていたなんて‥‥私にとっては初めから凄い存在だし、それ以上、成長されたらどれだけ凄い人間になるのか‥‥と私は思ってしまうが‥‥。


 でも、前世のことを言ったときには迷いはなかったように思えたけど‥‥。


「でも、初めはそんなことなかったのに‥‥」


「あのまま、なんだか勘違いされているのは嫌だったから、かな?」


「あ‥‥そういうこと‥‥‥‥うん、ごめんなさい!」


 私が変な解釈しちゃって、それを察したしんくんが、言ってくれたってことなんだ‥‥。

 だから、そこの部分を言うだけで、最後まで言うつもりは初めの時にはなかったってことか‥‥。


「いや、奈留なるさんが謝る必要は全くないし、迷ってたのは僕の方だから。 奈留なるさんが言ってくれて、驚いたし、嬉かった」


 しんくんがそう言ってくれているなら、私も勇気を出して良かったと思えてくる。


 でも、驚いてたのはほとんど私の方で、しんくんはあまり表情が変わらないように見えたが‥‥。


「あまり、驚いてなさそうに見えたけど‥‥?」


「いや、内心は驚いてたよ。 まさか好きな人から好きって言われるとは思わなかったから」


「す、好きな人‥‥!」


 改めて言われると恥ずかし‥‥というか、やっぱりしんくんはちょっと余裕がある感じでズルい!

 私はこんなに! ‥‥‥‥こんなにドキドキしてるのに‥‥。


「‥‥なんだか、照れるね。 こんな風なこと初めてだからどうしていいかわからないや」


「そ、そうだね」


「折角、ここにいるんだから、花火、見よっか? 少し気持ちも整理したいしね」


「うん‥‥」


 私も少しごちゃごちゃした頭をリセットする必要がある。

 色んな気持ちで、このままだと、たぶん人形のようにじっと動かなくなりそうだし。


 私は目線を空の方に向けた。


 次々と打ち上がっていく、色や大きさ、形の違う花火。


 その夜空に打ち上がっている花火は、今の私の心を表しているような‥‥。

 それほど輝いて花火が煌めいていた。

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