表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
281/780

276 二人だけの空間

前半は由南ちゃん視点で、後半が奈留ちゃんに戻ります。

 奈留なる磨北まきたくんが金魚すくいをしていた時、私はそれを影ながら見守っていた。

 二人が二人っきりになったのは、本当に偶然だったが、それが良い偶然であることは明らかだ。


 私はすぐさま、奈留なるを追いかけた。

 祈実きさねさんとつぼみはどうしようかと思ったのだが、二人も見たかったようで、付いてきている。


 二人きりになって、雰囲気が悪くなるようだったら、すぐにでも合流する予定だったが、その必要はないようで、結構良い雰囲気だ。


 お兄さんや森田もりたさんが金魚すくいにいたのは予想外だったが、気付かれないようで良かった‥‥。


「ねぇねぇ、由南ゆなちゃん。 そろそろ花火始まるっすよ? 二人と合流した方がいいんじゃないっすか?」


「バカね。 これからが良いところなんじゃない。 まだよ」


つぼみちゃん、ここは我慢だよ! お姉さんも弟の今後に、ワクワクです♪」


「お姉さんもっすか‥‥えー、でも皆で見たかったっすよ‥‥」


「もう‥‥花火が上がって終わるまでには合流しましょうか?」


「そうだね」


 合流するまでに、何か進展があればいいんだけど‥‥。

 期待だけなら、しても損は無いわよね。




 ◇◆◇◆◇◆




 昔、花火を見るために、他の人のいない空間を由南ゆなちゃんと一緒に探したことがあった。

 由南ゆなちゃん、人が騒いでるの嫌いだから花火が始まっても色々と歩かされたけど、そのお陰で花火が見れて、開けた場所を見つけることが出来たのは良かったと思う。


 今こうして、しんくんと本当の意味で二人きりになれているのだから。

 しかも、由南ゆなちゃんは、当然この場所を知っているので、花火が始まればこの場所に来てくれるだろう。


しんくん、こっちこっち!」


「こんなところがあるなんて‥‥。 しかも結構階段も上ったから結構高い位置にあって良いね」


由南ゆなちゃんと見つけたんだよ」


「よかったの? 二人の秘密とかそういうのじゃないの?」


「いや、別にそんなのはなかったはず‥‥え? よかったんだよね!?」


 あ、どうしよう、もし他の人に知られたくないと思ってたら?

 人が増えるのをよしとしないかもしれないし、怒られるかもしれない!


 ヤバい! 謝らなくちゃ!


 私は急いで携帯を取り出し、由南ゆなちゃんに電話をかけた。


 ピ‥‥‥‥


 あれ? なんだか一瞬で、切られた‥‥。

 これはいいってこと? ‥‥‥‥うん、なんだかいいって言われているような気がしてきた。

 なんだかいないはずの由南ゆなちゃんから睨まれたような気がしてきたし‥‥。


 うん、いいってことにしておこう!




 ◇◆◇◆◇◆




 その頃、物陰から見ていた三人は‥‥。


由南ゆなちゃんって、目だけで言葉を伝えられるんっすか?」


「え? 何言ってるのよ。 出来るわけないじゃない」


「親友だからなせる技だね~」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ