26 ニガテ
お化け屋敷に入ったのだが、何だかそこまで暗いというわけでも‥‥暗いな。
でも、何だか四人でいるためかそこまで怖いというわけではないな。
ハッハッハ、何ですかこの子供だましは!
そう思っていると、目の前に頭から血を垂らしながら、何故か刃物をもって、フラフラ歩いている青白い肌の女性が立っていた。
「ごめんなさい! 強がってました!! すごい怖いです、ごめんなさい!!」
やっぱり暗いとこ怖い!
あと刃物でさらに怖い!
怖すぎて立っていられず、しゃがみこむと同時に、小乃羽ちゃんの足に抱きついた。
小乃羽ちゃんごめん! だけど、ここ怖いよぉ!
「奈留ちゃんやっぱり苦手だったんだね。 ‥‥何だか怖がってる奈留ちゃん可愛い」
「森田先輩‥‥最低です。 御姉様大丈夫ですか? 怖くない、怖くないですよ~」
「あれ?」
「クズだな広葉。 さっさと地獄に落ちればいいんだ」
「そこまで言われる!?」
「奈留立てるか? まさかここまでだとは思わなかったな。 さっさとここを抜けてしまおう」
そして私は兄さんに抱えてもらい、何とかお化け屋敷を抜けることができた。
皆に迷惑かけて何だか申し訳ない気持ちでいっぱいだよ。
◆◇◆◇◆◇
「‥‥皆ごめんね、迷惑かけて」
四人で並んでる間に決めた場所で食事をしている時に私はさっきのお化け屋敷のことを謝ることにした。
まさか自分があんなにお化け屋敷が怖いとは‥‥。
遊園地全然行ってなかったのが仇になったな。
こんなことになるなら入らなかったよ。
「全然大丈夫ですよ御姉様。 誰しも怖いものはあるものですから」
小乃羽ちゃん優しいなぁ。
「そうだぞ奈留。 とある男以外はお前ことを迷惑だなんて思ったりしないよ」
兄さんには抱えてもらったりと迷惑をかけたのに‥‥こんなに優しい兄がこの世にいていいのか!?
そういえば、とある男って‥‥あれ?兄さんと小乃羽ちゃんが広葉の方見てる。
「その男って‥‥俺!? いや俺も迷惑とか思ってないから! 逆にお化け屋敷選んだこと、謝りたいぐらいだし!」
「いえ、私が悪いので森田さんのせいじゃないですよ!」
お化け屋敷を選ぶぐらいだから、アトラクションの中では好きなのだろうし、それをすぐ終わらせてしまったのは本当に申し訳ない。
「いや、ごめんね。 奈留ちゃん!」
何だか私のせいで変な空気になってるな。
ここは無理矢理話を終わらせよう
「私は大丈夫なので! も、もうこの話やめましょう! せっかく遊園地来たんですし」
「そうだな、もう奈留も大丈夫そうだしな。 次に乗る乗り物を考えようか」
そのあと私達はお化け屋敷に入る前の楽しい空気に戻り、楽しくお昼を食べながら次は何にするかを話した。
◆◇◆◇◆◇
ゆったりしたものと私が提案したので、話し合った結果、コーヒーカップに決まった。
これって名前、コーヒーカップであってるのかな?
え? ティーカップ? もうどっちでもいいや。
まぁ確かにゆったりはしてるね。
‥‥回さなかったらね。
コーヒーカップは私と小乃羽ちゃん、兄さんと広葉の二つに別れて、乗ることになった。
別に詰めれば乗れるんじゃないかな?
まぁ兄さんが、別々にしようと言ったので別々に乗ることになった。
「何だか、回ってるだけの乗り物なのにコーヒーカップって面白いよね」
「私も久々なのでとても楽しみです!」
小乃羽ちゃんは回す派なのかなぁ。
出来れば速く回さないでくれると嬉しいなぁ~。
そして動き出したコーヒーカップに何だか小さな子供のようにテンションが、上がっていた。
「わ~! 楽し~♪」
「そうですね! あ、少し回してみましょうか!」
「そうだね!」
何だか私も気分が盛り上がり、回すのも楽しくなってきた!
そういえば兄さん達は、何処かなぁ?
探していると一つだけ高速回転するコーヒーカップが。
「陸!! もう回さないで! 俺こういう酔う乗り物得意じゃないから!! 吐くから! 死んじゃうからーーー!!」
「知ってるし、大丈夫だ広葉。 回ってるだけじゃ人は死なん」
「そういう問題じゃないからーー!!!」
◆◇◆◇◆◇
「大丈夫ですか? 森田さん」
私は、何だか死にそうになっている、広葉の背中をさする。
「ウッ、死ぬかと思った‥‥。 ありがとう奈留ちゃん多分大丈夫だから」
「もう、兄さんやりすぎですよ」
まぁやりたくなる気持ちもわからないではないが。
「俺は自分が楽しむ為にやった。 後悔はしていない!」
何処の犯人ですか貴方は!
後悔も、反省もしてください!
その後、十五分の休憩を経て華麗に復活した広葉と共に、次のアトラクションに行くことになった。