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274 盛り上がる二人

 人混みを潜り抜け、ようやくたどり着いた金魚すくいの屋台。

 やはり、人が多くて先程から並んでいるが、あまり屋台の回りには他に行列が出来ているところはないので、空間としてはゆったりしていて、はぐれることはないので今は手を繋いでいない。


「結構、時間がかかりそうだね」


「そうかもね、まぁ一人辺りの時間が長いし、仕方ないよ」


 しんくんは待つのは得意な方なのかな?


「うん、でも列長いなぁ‥‥」


 子供も大人も色んな人が並んでいるし、それだけ人気のある屋台なんだろうし。

 それにしても、全然進んでないけど。


「‥‥なんだか聞いたことある声が聞こえない?」


「え、声?」


「うん、屋台の方から‥‥」


 誰だろう‥‥ん? ホントだ。 なんだか聞いたことがある声‥‥。


「あ、兄さん‥‥‥‥え、兄さん!?」


 兄さん、なんでいるの! ‥‥‥‥いや、あれから別れてから金魚すくいに行ったのか。


広葉こうよう! 俺は十八匹目だぞ!」


「なんだと!? 俺は十匹だが、デカいのが多いぞ!」


 あ、広葉こうようもいたのね。 ‥‥というか、まだ勝負してたんですか!

 しかも、数とかで競うんじゃなくて、総合的に競っていらっしゃる‥‥大きさとか気にし始めたら終わらないでしょ‥‥。


「誰かと思ったらりくさんたちか」


「大きな声だから結構聞こえてくるね。 声をかけたいところだけど、列から離れるのはちょっとね‥‥」


「でも、りくさんだし、気付きそうな気がするけど」


「いつもならそうなんだけど、森田もりたさんとの勝負になると盛り上がっちゃうみたいで‥‥」


 そんなことを言っている間に、兄さんたちは金魚すくいを終わらせたようで───。


りく、次は焼きそばを食うぞ!」


「おう! 勝負だ広葉こうよう!」


 あ、やっぱり気づかずに行っちゃった‥‥。

 本当に広葉こうようといると熱くなっちゃうんだから‥‥兄さんらしいが。

 というか、焼きそばで勝負ってどうやるの!? あの二人もう楽しめたらなんでもいいんだろうな‥‥。


「行っちゃったね‥‥」


「仕方ないよ‥‥」


 若干、寂しい気持ちもあるが、二人きりの場面を見られなくてホッとしている部分もある。

 本当に二人に見つかると色々と言われちゃうからね。


奈留なるさん、列が進んだよ」


「あ、うん」


 ‥‥あれ? さっきよりも進むのが速い‥‥。

 これ、絶対に兄さんたちが長い時間金魚すくいをやってたってことじゃないだろうか。

 どれだけ破れなかったんだ、金魚すくいのポイ‥‥。


 まぁ、兄さん達、二人が楽しんでいる姿を見ると、楽しいって心から実感できるし、同一人物でも、私にはない、今世のりく、つまり兄さんの良いところだろう。


 私も、照れてばかりじゃないで、こういうところはにいさんに習って、もっと気分を盛り上げないとね!

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