268 お祭りの食べ物!
アメリカンドッグを買った私達は早速食べてみた。
‥‥お、美味しいな。 やっぱりお祭りの雰囲気で、余計に美味しく感じるよね。
「モクモク‥‥‥‥うまいっす! さすが、業務用アメリカンドッグ!」
「ちょ! 業務用とか言っちゃダメだから! 確かに仕入れているだろうけど、お祭りのでいいじゃん!」
なんだろう、この一気に現実に引き戻された感は‥‥。
「まぁ、確かに慣れ親しんだ味だよね。 よくある市販の‥‥」
「祈実さんまで!?」
そんなこといったら、反対方向にあるフランクフルトだって同じだし!
流石に屋台という小さな空間で一から作る人は稀だろう。
「というか、きさねぇ、たぶんだけど市販以外食べたことないでしょ」
「あ、そうかも!」
もう、せっかく浴衣も着てるんだから、もっとお祭りを楽しもうよ!
「本当に‥‥買うときに、わかってて買ったはずでしょ‥‥。 そんなに手作りが食べたいなら、焼きそばとかたこ焼きとか食べればいいのよ」
「それいいっすね! たこ焼き、食べるっすよ!」
あ、そんなすぐに次を食べるんですか!
いや、まだまだお腹は問題ないけども。
「別に私は買えと言ったわけじゃないんだけど?」
「言われたら食べたくなったんっすよ。 ちょっと買ってくるっす!」
そう言って、蕾ちゃんはたこ焼きの列に並びに行った。
私達はその列には並ばなかったが、蕾ちゃんの近くで待っていることにした。
◇◆◇◆◇◆
「皆で食べるっすよ」
両手にはたこ焼きが入っているであろうパックを持っていた。
「え、いいの?」
「そのために買ったんっすよ~!」
私も正直食べたいとは思っていたけど、一、二個でいいなと思っていたので、蕾ちゃんの言葉は本当にありがたい‥‥。
「ありがとう! じゃあ、早速いただいて‥‥」
「奈留、たぶんそれロシアンたこ焼きよ」
「‥‥え?」
またまた、由南ちゃん。 お祭りのたこ焼き屋にそんな面白メニューがあるわけ‥‥‥‥あったぁぁ───!?
デカデカと店前のメニュー表に書かれてるよ!
「もう! 由南ちゃん、そこは言わない約束っすよ! それに引く確率は低いんっすからね」
「それでもよ。 それにそういうのは初めにどんなものか言ってから、皆で順番に食べるか、一斉に食べないと面白くないでしょ」
まぁ、知らずに食べたら、ロシアンというか、ドッキリだよね。
「そ、それもそうっすけど‥‥」
「まぁ、今回はロシアンなんてしないから、それは蕾が全部食べなさいね?」
「え、由南ちゃん、別に今からやればいいんっすよ‥‥?」
「自分で、食べなさいね? ‥‥‥‥ね?」
「は、はいっす!!」
由南ちゃんの睨みに負け、蕾ちゃんは一人でロシアンたこ焼きを食べることになった。
その後、ハズレを引いた蕾ちゃんが、辛さで大きな悲鳴をあげたのは言うまでもない。




